第13話 姉妹喧嘩、相手は私

 ヤバ過ぎる一年がいると私たち二年の教室までウワサが届いていた。

当然、超問題行動を起こす、朝倉 純の兄であるお兄ちゃんは呼び出しを受けていた。

 私の体が勝手に異常な行動を起こしている。聖奈会長は恋歌お姉さまに逆らえないように教育されていたから、生徒会もお手上げのようだ。


 そして私は今日も道場に来ていた。昨日とは違い、私が姉と戦うために来ている。私が負けたら学校が終わる。姉の暴走を止めるのは妹の役目。


「逃げずに来たようだな、美優!私は妹だからと言って容赦はしない。」

 恋歌お姉さまはブレない。芯が通った人だ。でも、この状況は許すわけにはいかない。正義、正論を通す行動はメチャクチャなのだ。


「美優なら、分かるよな。このまま怠惰を繰り返す、日本人の末路がどうなるか?平和ボケして、終わるぞ…、この国は…。」

 恋歌お姉さまは国の規模で考えるという、素晴らしい考えなのだと思う。だけど、人の自由を奪う行動は看過できない。だからこそ、私が止める!


「お姉さま、私はあなたの自慢の妹です。だから、あなたの行いを、過ちを許すわけにはいかない。止めます。」

 私は竹刀を手に取り、純(恋歌)に向けた。


「私が竹刀を持っている意味を知らないのか?剣道が一番、手慣れているからだ。鍛えてもいない貧弱な美優なら一瞬で決着が付くぞ。」

(この姉は美優という人物を舐めきっている。勝機はそこだ…。)


「さっさと掛かって来なよ、弱いお姉さま。」挑発すると、


「舐めるな!美優!」お姉さまは真っ直ぐ私に向かって攻撃してきた。


 そして、彼女は突きのフェイント後の右からの胴打ちを繰り出してきた、それを私は呼んでいた。私は突きのフェイントを相手の懐の右側に踏み込み、右の胴打ちが来る前に相手のみぞおちに向けて竹刀を振り抜いてブッ飛ばした。


苦しそうに倒れた純(恋歌)に、

「あなたの敗因の一つ目、剣道をやっていた影響で防具無しの人間相手に顔を狙わない面以外で相手を倒そうとしていた…可愛い妹を相手取った、脇の甘さ。」


「二つ目は一度、太刀筋を私に見せていたから、その攻撃速度を私に理解されていた。現に格下の貧弱な美優相手にまったく同じ速度で攻撃した。」


「三つ目は、私に時間を与えてしまった。私はイメージトレーニングを積み上げられたこと。この体で動ける最高速度とあなたの攻撃速度の計算する時間があったから、あなたがバカ正直に攻撃した場合、余裕で交わせた。」


「四つ目、これは竹刀じゃない。竹刀に見せ掛けて中に硬い木を入れて一撃で倒せるように細工した。痛かったでしょ?まさか、あんなに飛ぶとは思わなかったけど…。」


痛みで苦しんでいる彼女が、

「おい、純、自分の体だぞ?そこまでするのか?」純(恋歌)が話したので、


「何を言っているの?純ちゃん。私は美優よ?ただ、暴走して手のつけられない不出来な妹に教育しただけよ?反省しなさい?それからこれからは私の言うことを聞くのよ?妹らしく…。」私はそう告げた。


「約束だ、従うよ。美優。」恋歌お姉さまは私に負けを認めた。


 相手が悪魔だろうが、変態だろうが、私に取っては大切な姉だからね。


道場を出て校門まで歩いていたら、

「美優~。聞いてくれよ、俺は何もしていないのに、妹のせいでみんなから責められるんだよ!」ヘタレの兄が泣き付いてきた。


 記憶をリセットされたこのヘタレの兄は入れ替わりの状態を理解していないみたいだ。突然、恋歌さんみたいに狂暴化した妹が暴走している、ぐらいにしか思っていない。しかも、いまだに妹の私を美優だと思っている。


「帰ろうか、今日は私が晩ごはん作ってあげる。」

 今の私はヘタレなお兄ちゃんの許嫁だからね。可愛がってあげるよ。


「やっぱり、美優が一番いい。」とお兄ちゃんは言っている。

(違うよ、あなたは性格が私で、外見が美優の事が好きなんだよ。)


 そうだ!兄の体はヘタレなんだ!なのに美優お姉さまはそのヘタレの体を使って、女の子を襲う行為に走った…あの人は体に反する事ばかりしていた。あの美優は絶対におかしい。入れ替わった、最初から本当の美優お姉さまじゃない…。じゃあ、あれは誰なんだ?


 私は物事の核心に近付いているそう感じた。

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