第3話 後ろから抱き付く姉に私は

私とお兄ちゃん、桜庭姉妹の四人は

男の体を手に入れ、暴走する美優(変態)をどうするか?を話し合っていた。


「私は変態行為が出来ないように股間のあれを不全にしてやるのがいいと思う。」

 美優お姉さまの姿の私が言うと、


「止めてくれよ~。俺の体なんだ…純、美優を許してやってくれ。」

 私の姿の情けない兄がお願いをしてくる。


「じゃあ、私の彼氏にして監視するよ?」聖奈さんは男に飢えているようだ。

 聖奈さん…どれだけ彼氏欲しいの?あなたは…。


「お姉ちゃん!物じゃ無いんだから、変な発言をしないで!」

 静香さんは変態を飼おうとする、姉の聖奈を止めている。


結局、結論が出ないので、美優(変態)を連れて学校に行くことにした。

「本当にダメな子ね。美優ちゃんは。」そう言いながら、

 兄の体の美優を担ぎ上げて、普通に歩いている。


「俺って気絶したときにいつもああやって連れていかれてたの?」

 自分の体が聖奈さんに山賊担ぎされている姿を見て話したので、


「私には見慣れた当たり前の光景ですけどね。」

 懐かしい光景を見て、昔を思い出した。


「ねえ、純ちゃん。美優さんは二年よ?勉強とか大丈夫なの?」

 学年が一つ上の年齢になった私の事を心配してくれた。


「静香さんは優しいですね、私は同じクラスになれて嬉しいです。」

 私は親友の静香さんと大の仲良しなのでいつも一緒なのが嬉しかった。


「反対に私はすべてを手に入れたと思います。」

 私は一年なのに高い身長がコンプレックスだった。

 平均身長で美少女、憧れの美優お姉さまになれた事に満足していた。


「俺は、妹の体になってこれからどうしていいか?分からないよ…。」

 高身長でモデル体型、スポーツ万能の私の体なのに兄は文句を言っている。


「お兄ちゃんは女の子の方が合うよ、優しすぎて優柔不断だし、彼氏を作って引っ張ってもらいなよ。」

 ヘタレ兄の就職先は専業主婦が一番だと、教えてあげる。


「朝倉くんはその体の方がいいわ。なんて言うか、イライラするもの…男の…あなたの優柔不断さには。」

 静香さんは何気に酷いことを言っていた。


私は一つだけ心配があった…あの美優の体とお兄ちゃん(変態)の体は許嫁だ。だから、このままだとあれと結婚しないといけないのだ。

早い目に処分したい…聖奈さんに引き取ってもらう、もしくは許嫁を解消するなど…色々考えていた。

襲われる可能性が一番高いのは、お兄ちゃんと私なのだ。ただ、この貧弱な体では勝てない。今日から猛トレーニングしないと…。


まあ、あの変態の姉が捕まる方が早そうだけど。


保健室に美優お姉さまを寝かして、先生に変態に襲われないように気を付けるよう、告げて私は二年の教室に向かった。


「美優~、おはよう~。」

 学校中の人気者、美優お姉さまの容姿の私は色んな人に声を掛けられた。


「おはようございます。」と挨拶をすると、


「美優?なんか変だよ?いつもなら元気よく、抱き付いたり、もっと緩い挨拶するのに…。」

 美優お姉さまはユルユルだったよね、確か…。


「私は生まれ変わりました、以降はこの雰囲気でいきますのでよろしくお願いします。」路線変更を示唆すると、


「真面目な美優もいいね。かわいさが引き立つよ~。」

 私はそれを聞いて、人は見た目なんだなってちょっと悲しくなりました。


 授業は特に問題なくこなせたし、分からない事はあとで静香さんに聞けばいいから良かった。あとは、お兄ちゃんの体の美優お姉さまが何をしでかすかが不安なだけだ。

授業の間の休み時間に美優お姉さまの様子を見に行くと、

「あっ、柏野さん、大変なの…朝倉くんがいないの…。」先生が困っていた。

 (はぁ~。どこ行ったのよ、お姉さま~。)


もう、探さないよ?私は。

意味不明な行動を取る姉に頭を抱えながら、保健室を出たとき、

「美優、かわいいな~。」後ろからお姉さま(変態)に抱き付かれた。


「きゃ!」…この、変態が!

「美優お姉さま?何をなさっているのか、分かっていますか?」と聞くと、


「俺は許嫁の美優に抱き付いているだけだよ?いい臭いだ。」

 (あくまで変態のお兄ちゃんとして対応するのですね。なら!)


「死ね、変態が!」

 私は小さな体格を利用して私の右足を相手の左足を絡み付け、

 倒れ込むようにして内股巻き込みで変態を倒した。


「舐めないで下さい。美優お姉さま!」倒れた変態野郎にキレた。


派手に転んだお兄ちゃんの体の美優お姉さまが、

「痛いよ~。純ちゃん!なにするの!」(それはこっちのセリフですよ。)


「お姉さま…いい加減しないと…。」今回は許さないよ?


「悪かったよ。もうしないから!純ちゃん許して!」

 ものすごく謝る美優お姉さまに私は、


「もういいよ。次にしたら、警察行きだからね!」渋々、許した。


そのあとは、大人しくなり一緒に教室で授業を受けていた。

事情聴取するため、昼休みにご飯を食べることになった。

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