第4話 姉と兄は早くも順応する
私と変態の兄(美優)の二人で昼ごはんを食べていた。
「美優お姉さまはなぜ?女性を襲うのですか?」
兄の体で暴走を続けるこの姉に聞いて見たかった。
「男になれば分かるさ、純はいい体しているし、美優は可愛すぎるんだ。」
(なに言ってんだよ、この変態は。)
「美優お姉さま。あなたは感情と行動のコントロールが出来ないのですか?」
制御出来ない程のバカなのかこの姉は。
「男は欲望のままに生きるのさ!私は満足しているこの体に!」
もうダメだ、コイツは、放っておこう…。
「では、約束してください、私とお兄ちゃんには手を出さないで下さい。次にしたら、警察に突きだします。」そう言うと、
「それは無理だ。俺と美優は許嫁だからな、これからは毎日イチャイチャするんだ。それにお前は兄が好きだったのでは無いのか?」
許嫁の立場の私は例外って事ですか…。
「では、許嫁は解消ですね、今日から。私は変態が嫌いなので…。朝倉家にお詫びしに行きます。」私がそう言うと、
「じゃあ、これからは毎日、妹とイチャイチャするよ。元々はこっちが許嫁の関係だからな。」兄を盾に取られたよ。
「どのみち、お兄ちゃんは優しいからきっと許してくれるから、私じゃここまでが限界だよ…。ダメ姉にもう話すことは無いから、お兄ちゃんの様子を見てくるよ。」
私は冷たくあしらって一年の教室に向かった。
たぶん、私はかなり怒っているんだと思う。怒りを通り越すと真剣に話すことへの馬鹿馬鹿しさが込み上げてきて、話を切り上げた。
同時に私になったお兄ちゃんが気になり、見に行くことにした。
一年の教室に行くと異様な光景に遭遇してしまった。私になったお兄ちゃんが男子に囲まれていたのだ。(なにしてんの?お兄ちゃん…。)
「あっ!樫野先輩だ。」美優お姉さまの信者の元クラスメイトに
話しかけられたので、事情を聞いた。
「純ちゃんがね、朝からメチャクチャ優しいんですよ。すごく気が利くし、別人なんじゃ無いのかってみんな言っています。」
ふだんの私は優しくしてないみたいな、言い方だな。
それを聞いて、ちょっとイラって、した。
「昨日までの純ちゃんは少し取っ付きにくい時があって、クールって言うんですか?落ち着きがあってスゴい大人だったんです。だけど今は…。」
私ってそんな感じで見られていたんだ…ちょっとショックかも…。
すると私を見つけたお兄ちゃんが目をうるうるとさせながら走ってきて、
「怖かったよ~!」泣きながら私に抱き付いてきた。
その姿を見たクラスメイトが、
「可愛すぎじゃない?今日の純ちゃん。」と言っていて、
周りを見ると、クラスの男子たちが私たちを見ていた。
「ちょっと、お兄ちゃん!みんな見ているから、泣かないで…。」
耳元でお兄ちゃんに泣き止むよう、言ったら、
「男の目線が怖いんだ。メチャクチャ話しかけてくるし、純は人気ありすぎじゃないか~。こんなの聞いてない。」
(うん。言ってないし、過去にこんな人気者になった記憶も無いよ?)
なるほど、クールな私が突然、ヘタレの優しい私になった…そのギャップで注目を浴びているんだ。しかも…男子受けし過ぎだよ、お兄ちゃん…。元純の私は、女の子になって初日の兄にボロ負けしたよ。男子も女子もみんな今の純の方が好きみたいだよ。
「お兄ちゃん…私帰る…。」
女子(純)を上手くやっている姿にショックを受けた私は帰ろうとしたら、
「いかないでくれよ!寂しいよ!」
ヘタレのお兄ちゃんが止めて来るので、
「お兄ちゃん、私は忙しいの!ちゃんとクラスに溶け込めてるから、もう教室に戻りなよ!」突き放した。
「そんな~。」お兄ちゃんがあまりにすがるので、
「私より、女の子をキッチリやってるじゃん!お兄ちゃんの方が人気者だよ!お陰で女性としての自信がまったく無くなったよ!」キレながらそう言ったあと、
「大丈夫。お兄ちゃんは女の子の方が向いているよ?」
「じゃあね。バイバイ、純ちゃん。」と言いながら立ち去った。
そのあと教室に戻り、美優お姉さまがどうだったか、聞いて来たので、
「私より人気者でしたよ、私の見た目で私より、モテていましたよ。」
完全に負けたことを宣言したら、
「お前には美優の…私の体があるじゃないか。圧勝だぞ、私の見た目なら。」
変態の姉に慰められた。
「はぁ?それって私の中身はたいした事が無いって言いたいんですか!」
メチャクチャ腹が立った私はお仕置きすることにした。
「お姉さま?言って良い事と悪いことあるよね!」と言いい
そのあと、美優(兄の体)の左脇腹を思いっきり蹴って、うずくまった所に後ろ廻し蹴りで倒した。
「やっぱり美優お姉さまの体では威力が落ちるな(相手が気絶しなかった。)でも、何をしてもいいよね?私たちは許嫁なんだし、これからはもっと仲良くしようね?」
お兄ちゃんの体の美優お姉さまが土下座しながら、
「許嫁の関係を解消したいのですが…。」と言ってきた。
ダメに決まってるじゃない、こんな素敵な関係なんだから…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます