第6話 謝罪

 ボールドウィンとの話し合いから一夜明けた早朝。穏やかな心持ちで目を覚ましたソロモンは、洗面台で顔を洗い、鏡に写った己の姿を見る。眼鏡のレンズ越しに写る自分は、昨日よりはマシな顔つきをしているように見受けられる。数秒じっと凝視したのち、力強くピシャリと頬を叩いて気合いを入れ直したソロモンは、今日の予定について考える。

 今日は、何としてもジェシカに謝らねばならない。己の不甲斐なさは自覚した。ジェシカが言いたかったであろうことも理解した。ならば、誠心誠意謝るしかない。許して貰えないかもしれないが、それでも誠意は見せなくては。とはいえ、このまま手ぶらで帰宅していいものかがわからない。小説や演劇などでは、喧嘩をした夫婦の片方が手土産を片手に帰宅する展開も見られるが、安直にそれをしていいものなのだろうかと悩む。

 それに、ソロモンはジェシカの好みが分からない。的外れな手土産を手に帰宅して拗れるよりは、何も持たず帰り謝った方がいいだろう。恐らく、その方がいい。

――とはいえ、自分の決断に自信が持てぬソロモンは、ボールドウィンに相談してみることにした。すると、一通り話を聞いたボールドウィンは、「余計なことはしない方がいいと思う」とあっさりと返した。


「ジェシカさんが求めてるのは、手土産じゃなくてお前がちゃんと反省することだと思う。というか、趣味も深くわかってないのに、手土産なんて持って行こうとするな。ジェシカさんの好みに合えばいいが、そうじゃなかったらどうする。余計こじれるぞ」

「……やっぱり、そうですか……。じゃあ、やめておきます」

「そうそう。それに、きっと母さんがあれこれ持たせてくれるだろうから、それで充分だろ。お前が余分に持っていくことはないさ」

「……確かに、そうですね」


 ボールドウィンの意見はきっと正しいだろう。何度も言うが、ソロモンはジェシカがどういう服や菓子が好きなのかもなにもわかっていないし、特に手土産を頼まれたわけでもない。それに、下手に手土産を持って行ってジェシカの気持ちを害したら、まったく笑えない。

 それに、ボールドウィンが言った母からの荷物もある。まだ何も言われていないが、以前夫や子供とともに帰省した姉が、母から渡されたたくさんの荷物とともに帰っていった。思い返せば、手土産はそれで不足はないだろう。

 ここはやはり余計なことをすべきでは無いのだと思い直し、ソロモンは素直に謝りに行くことに決めた。


「それじゃ、僕は帰ります。お世話になりました」

「いいのよソロモン、気にしないで。またいつでも帰ってきていいからね」

「それよりもジェシカさんと仲直りしなよ」

「は、はい、もちろんです」

「ソールにいまたね!」

「はい、また」


 朝食後、母と兄弟に見送られ、ソロモンは実家を後にする。父はすでに出勤していたため姿はなかったが、母からの伝言で「またいつでも帰ってきていい」と伝えられた。

 その後、予想通り母から持たされた多くの荷物を背負ってタクシーに乗り込んだソロモンは、雲ひとつない綺麗な空を眺めながら、ジェシカになんと切り出すそうか考えていた。


 それから暫く閑静な街並みを走り、アパートに到着する。タクシーから降りたソロモンは、深く深呼吸をして荷物とともにアパートの階段を上り、ドアノブに手をかける。鍵は開いていた。どうやら、ジェシカは部屋にいるらしい。


「…………ただいま、戻り、ました」

「おかえりー」


 虚空に声を放つと、部屋の奥から声がした。ジェシカのものではないその声に驚くが、すぐに声の正体はアイリーンだと理解した。彼女は静かに奥の部屋から顔をのぞかせて玄関へとやってくる。そんな彼女に、ソロモンは僅かに目を丸くする。


「……なんで、アイリーンが?」

「ジェシーに『遊びにおいで』って言われたの。いいじゃない、本来は私とジェシーが恋人同士なんだから」

「あ、いや、それはそうなんだけど……」

「あ、ちなみにビルキースさんはいないわよ。仕事だから」

「そりゃそうだろうね」


 ビルキースがいないのは逆に都合がいい気がした。別に、ここにきてまでビルキースのほうに気を向かわせるつもりはないが、なんとなく、彼がいないほうが落ち着いて話ができそうだからだ。

 また、やはり傷心の身には真に愛するものの存在が必要なのだろうと思うと、アイリーンがいるのは至極当然だろう。とはいえ、ニコニコと話す彼女を見ていると、余計な事を考えて複雑な気持ちになる。

――僕がボールドウィン兄さんに怒られてた間に、こいつは恋人といちゃついてたのか……。っていやいや、別に悪いことじゃないんだし、そんなことは考えない方がいいよな……。

 妹相手に苛立ちを覚えたソロモンだったが、そんなことをいちいち考えると気分が悪くなりそうだ。慌てて気持ちを切り替えて、母から貰った品に話を向ける。


「そういやこれなんだけど……」

「あぁ、お母様が持たせてくれたの?」

「あ、うん、そう。これ、みんな常温でしまっておいていいものばかりだから」

「あらそう、ありがたいわね。運ぶの手伝うわ」

「ん、ありがと」


 アイリーンとともに荷物を運び、リビングに向かう。向かった先には誰もおらず、静かな部屋で荷物を片した。アイリーンもこの家のリビングやキッチンで作業をするのは慣れているのだろうか。テキパキと片づけていく。その最中、ソロモンは気になっていたことをゆっくりと口にした。


「……あの、ジェシカさんは、どこに?」


 その質問に、アイリーンはちらりとソロモンを一瞥したあと、呟く。


「部屋にいるよ。ご飯食べてから部屋にいるわ」

「そう、ですか」

「うん。昨日は相当荒れてたんだけど、一晩寝て落ち着いたみたい」

「……そう、ですか」

――それなら……ちゃんと話し合いができるかも……。だけど、聞いてくれるかな……。


 荷物を片す傍ら、不安を胸に抱えて目を伏せるソロモンに、アイリーンは少し表情を正してから、話を切り出す。彼女の金色の瞳が、少し険しくなる。


「……ちゃんと、反省したのよね?」

「……うん、もちろん。ちゃんと理解したし、反省もしたよ。とはいえ、ボールドウィン兄さんに怒られてやっと……なんて有様だけどね」

「えっ、ボールドウィン兄さんに怒られたの? 珍しいこともあるのね……」


 突如飛び出したボールドウィンの名前に、アイリーンが反応を見せた。彼女の中でも、長兄は優しくて頼れる兄のイメージが強いのだろう。怒っているところなんてほとんど見たことがないはずだ。そんな彼に怒られたとなれば、ソロモンが自分の醜態を理解し反省したというのも頷けるのだろう。

 とはいえ、アイリーンは少し不満なようである。それは、ジェシカ本人がずっとソロモンへの態度に対して言及はしていたことを知っているからである。だからこそ、『今までジェシカが何を言っても聞かなかったのに?』という疑問や失望感があるようだ。


「ソール兄さんが自分のやらかしを自覚したのはいいけど、似たようなことは多分、ジェシーも言ってたんじゃないかしら。ボールドウィン兄さんに言われてやっと自覚するのね」


 アイリーンが冷たく口にしたことについては、ソロモン本人も思っている事だ。伝え方はそれぞれ異なっても、似たようなことは恐らくジェシカも何度も口にしている。ビルキースにだって言われているかもしれない。それなのに、『長兄』に言われたら聞き入れるのか? というのは、いくら考えてもやはりおかしい気がしてならない。自分の至らぬ点を改めて認識した。


「……別に、ジェシカさんを軽視してる訳じゃ、ないですよ」

「どうかしら。……まぁ、なんでもいいけど、仮にも妻になる相手なんだから、ジェシーの言い分もちゃんと聞いてあげてくれる?」

「…………はい、すみません」


 ここでいくら反論しても、アイリーンからの信頼は回復しないだろう。それに、真っ先に信頼回復に努める相手は彼女ではない。

 やがて、片づけを終えたアイリーンは、ジェシカに一声かけてから帰宅する。玄関先で、アイリーンは改めて『ちゃんと謝りなさいよ』とソロモンに釘を刺した。もう余計なことをいうソロモンではない。彼は小さく頷き妹を見送った。



 しん、と静まり返った玄関で1人になったソロモンは、ふぅ、と息を吐いてゆっくりとジェシカの部屋に向かう。彼女はここにいる。

 先程部屋を後にしたアイリーンが、ソロモンの件で何かを言ったかは分からない。ただ、何かを言っていようがなかろうが、真摯に謝るしかないのである。

 額に焦燥の汗を浮かべながら、ソロモンはジェシカの部屋の戸を叩く。数秒後、何? と短く言葉が返ってきた。静かな調子ではあるが、苛立っているようにも聞こえる声である。


「……ジェシカさん。あの、あなたに謝りたいことがあります」


 意を決してドア越しに話しかけると、少しの沈黙と微かな物音の後に返事がくる。


「……この度は、あなたに大変失礼なことをしてしまい、ました」

「…………今度こそ、本当に、自分が何をやったかわかってるの?」

「えぇ、はい」

「本当に?」

「――はい」


 ジェシカは疑うように声を低くした。当然である。昨日は何も分かっていない状態で謝罪をしたのだ。ジェシカが疑うのも、部屋に入れてくれないのもなんらおかしい対処ではない。

 ならばここでしっかり彼女の言葉を肯定し、自らの非を認めるのが筋である。ソロモンは、力強く返事をしたあと、一呼吸置いて、自らの過ちを振り返る。


「…………そもそも、僕は、自らの役割を理解していませんでしたし、挙式の価値も見出していませんでした。……挙式をする理由は人それぞれありますが、ジェシカさんのいう『親を安心させたい』も、全くピンと来ていなかったんです」

「……やっぱり、そうだったのね」


 呆れたような声に思わずたじろぐが、彼女の反応に無闇に触れている場合ではない。ソロモンは、すみません、と断りをいれて、言葉を続ける。


「……でも、今は、一応、自分なりに理解しました。だから、あなたが結婚し挙式をして親を安心させたいというのも、理解できるはず、です。その上で、思います。僕は、あなたの夫という立場を得た者として、あまりにも不適切な対応をしていました。……本当は、もっと、挙式に興味がなくても話し合いに関わるべきだったし、あなたの問いかけにも答えるべきだった。少なくとも、あの場で、一人でチェスをしていていいわけが……なかったん、です」


 自分で思い出しながら、ソロモンは、後悔と羞恥で頭や胸がぐちゃぐちゃになりそうだった。けれど、あの場にいたジェシカやビルキース、アイリーンはもっと衝撃や悲しみ、居心地の悪さや味わっていただろうと思うと、文句を言える立場ではない。


「……僕の行動は、あなたにも、ビルキースやアイリーンにも、そして店にいた方にも失礼なものでした。それに、もしかしたら『マスグレイヴ家』にも悪影響を及ぼすかもしれない。そんな酷いものでした。僕はもっと、あなたの夫として相応しく振る舞うべきだったんです。……あなたが、あの時『恋人として、夫として隣にいてもきっと恥ずかしくないわ』と言ってくださったのに、それを、完全に裏切ってしまった。……最低、です」


 悔しげに顔をしかめて、ソロモンは言い切る。いくらジェシカにとって近しい男性だったとはいえ、友として好ましく思われてすらいなければ、偽装結婚の相手になど選ばない。異性に友として信頼を得ているというのは、とてもありがたい事のはずなのに、それすら分かっていなかった。

 顔を伏せて自分の胸中を吐露しながら、今日ここで別れを切り出されても仕方ない程に最低であると思っていた。けれど、それを口には出さず、ソロモンはジェシカへ思いを向ける。


「ジェシカさん、今まで、本当に、申し訳ありませんでした。本当に、すみません」


 ソロモンは、それまでよりも少し力強く声を発して、扉の向こうのジェシカに謝罪の気持ちを向けた。これが、現状のソロモンにできる精一杯の謝罪であった。直接顔を合わしている訳ではないが、反省と後悔と謝罪は込めたつもりである。

 だが、いくら待ってもジェシカからの反応はない。やはり自分が無礼極まりないことをした以上、そう簡単に許してもらえるわけもなかったか。ダメか、と諦めソロモンが立ち去ろうと足の向きを変えた直後――キィと扉が開く音がして、ワンピースに身を包んだジェシカが顔を覗かせた。


「……ジェシカ、さん」

「……ごめんなさいね、反応が遅くなって。だらしのない格好をしていたから、着替えていたの」

「そ、そう、だったんですか……」

「うん、だから、ごめんなさいね。……それで、少し、話をしましょう。私の気持ちも伝えておくわ」

「あ、はい……」


 口の端を僅かに緩めたジェシカは、廊下に出て扉を閉めた後、リビングへと向かう。真面目な話し合いに応じてくれるようだ。少しほっとしたソロモンは、改めて気合いを入れ直す。

 普段食事をする際に使うシンプルなテーブル。それぞれ己の椅子に座り、厳かな空気感の中、ジェシカがゆっくりと口を開く。


「今回は、ちゃんとわかった上で私に謝ってきてくれたのね」

「……はい。お恥ずかしいことに、ボールドウィン兄さんの手を随分とお借りしましたが……」

「そう。でも、理解してくれないよりはマシだわ。それは、うん、嬉しく思ってる。ありがとう」


 向かいに座るジェシカの表情がほんの少し柔らかくなった気がする。その事につい目を丸くした。すると、それに対しジェシカも驚いたような表情をした後、僅かに眉尻を上げる。


「どうして驚くの? 私に感謝されることがそんなにおかしい?」

「い、いえ、別にそういうことではなく! ……その、兄さんの手を借りたということを、不快に思うかなと、思っていたので……」


 自分の発言を曲解されてしまっては困る。ソロモンは慌ててジェスチャーと共に彼女の言葉に返した。ソロモンはただ、『ボールドウィン兄さんの手を借りた』という話に否定的な反応をすると思っていたからである。

 それを聞いたジェシカは、納得したように相槌を打つ。続いて彼女から返ってきたのは、どこか冷ややかさのあるものだった。


「別にいいのよ。あんなことをやらかした貴方が、自分の力だけで解決してくるとは思ってないから」

「う……」

「……本音を言うと、自分の失態を自分でちゃんと理解して謝りに来てほしかった。でも、元々それができる人なら、あんな我関せずを貫けはしないわ。だから、別にいいのよ。お兄さんの手を借りようがなんだろうが、自覚したのだから」

「……それは……すみません……」


 ジェシカの言葉が胸に刺さる。彼女の言うことは事実で、ソロモンに対する評価も当たっているだろう。結婚についてきちんと理解した誠実な人であれば、あんな馬鹿げた行動はとらない。それを何も理解していない愚か者だったからこそ、あの場で不適切な行動を取り、一度目の謝罪は酷い結果になったのだ。

 彼女の本音も、ぐさぐさと胸に刺さる感覚があるが、言われても致し方ないことである。だが、ひとまず最低条件はクリアしたらしい。いや、これくらいはもっと早くクリア出来ているべきだったのだが。

 ソロモンは気を緩めずに彼女の話に耳を傾けた。膝に置いた握り拳にぎゅうと力を込めて、謝罪を口にする。


「本当に、申し訳、ありませんでした」


 少しばかり頭を前に傾けたソロモンの悲痛な言葉が響いて、ジェシカがアメジスト色の瞳を眇める。そして、目線を僅かに逸らし熟考したあと、双眸をまたソロモンに戻した。


「……姿勢、正していいわよ。あなたの今の体勢、なんだか頭を下げられてるみたいで逆に嫌だわ」

「あ……それは、失礼しました」


 この国の人間は、謝罪する時に頭を下げることは滅多にない。頭を下げるのは謝罪よりも服従の意が強くなる。だからソロモンは己の体勢に内心驚いた。でも、実際、彼女の許しを得るには、今後彼女に服従する位の心意気でいた方がいいのかもしれない。

――まぁ、そこまでは、求められないと思うけど……。

 冷や汗をかくソロモンの向かいで、ジェシカは眉に寄せていたシワを緩めた。その反応に、ドキリと胸が高鳴り、また汗をかくような思いがした。

 その直後、ソロモンの元に柔らかな声が届く。


「……もう、いいわよ。大丈夫」

「――え」

「貴方が自分の過ちを理解し反省したってのはよく分かったわ。だから、もう大丈夫。――許すわよ、とりあえず、ね」


 その言葉を聞いた瞬間――ソロモンの胸が晴れやかになった。じん、と暖かな色が広がってソロモンの罪悪感も和らぎ、力が抜けていく感覚がする。

 ソロモンは、信じられないといった様子で目を見開いて、驚愕のままに喉を震わせる。


「……ほ、ほんとう、ですか?」

「あら、嘘であってほしいの?」

「い、いえ、そんな訳ではなく……有難いのですけれど、びっくりして」

「別に私、一生許さないなんてことは言わないわよ。許してほしくないなら、許さないって言ってもいいけど」

「あ、いえ、その、許して頂けると……ありがたいですが……」

「じゃあ、いいじゃない。私、なんであれ、貴方がちゃんと理解してくれて反省してくれたのは、嬉しいって思ってるのよ」


 ジェシカは体勢を変えて、椅子から立ち上がったあと、ソロモンの方へと歩み寄る。反射的に、ソロモンも椅子から立ち上がり、こちらにくるジェシカをじっと見つめた。続けてにこりと微笑んだ彼女は、念を押すように言葉を続ける。


「……ソロモンさん、あなたは、ちゃんと、反省してくれたのよね?」

「…………はい」

「だったら、約束して。今後は、ちゃんと、『私達の式』に関わるって。興味なくていいから、ちゃんと、しっかり、関わって。最低限の希望を伝えて後は放置なんてしないで」

「……はい」

「そして、アイリーンと、ビルキースさんにもちゃんと謝って。あの二人にも、迷惑かけたんだから」

「……はい」


 脳裏に、つい先程を合わせたアイリーンと、まともに話せていないビルキースの姿を思い浮かべる。あの二人にもきちんと改めて会って話し、自分の自分の誠意を伝えたい。

 だけど、今はもう少し目の前のジェシカと対話がしたい。なんてことを思っていると、ジェシカが、スと右手を差し出した。


「仲直りとか約束とか言うつもりはないけど、握手しましょう。改めて、上手くやっていくための区切りとして」

「あ、はい……もちろん、です。うまく、やっていきましょう。今後は、僕も、ちゃんと、頑張りますから」


 差し出された手を軽く返した。力は強くないか、痛くないかと気にしたが、彼女は静かに微笑んでいる。ほっと胸を撫で下ろし、ソロモンも自ら宣言をした。

 こうして、ジェシカのと諍いは一旦幕を閉じ、ソロモンは安堵に口の端を弛めることができたのだ。

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