第35話 聖歴152年7月14日、猫車

「すまなかった」


 俺は土下座した。


「そないな事せんでも。男にああいう欲求あるのは理解してます」

「許してくれるのか」

「そうやね。秘密兵器一つで手ぇを打ちましょ」


 あれしかないか。

 俺は猫車を出した。


「台車とそんなに変わらへんような気ぃがするけど」

「明日やってみたらいい」

「そやね。今日は付き合ってや。楽しい事したい。エッチな事はできひんけど、二人で遊べば、気分も晴れるんとちゃう」

「そうかもな。でもここいらで遊ぶ場所なんかあったか?」

「冒険者相手の酒場は柄が悪いし。そやね、なんか楽しいの出したってや。カップルがやるような奴や」


 ツイスターゲームを出してやった。

 審判はラズに頼んだ。


「右手赤」

「うち、もう限界」


 俺の顔がジューンの股間に行った。


「ごめん変な所に顔が行った」


「ほんとカップルがやるのに最適なゲームね。次は右足を黄色」

「あっ」


 肘がジューンのおっぱいに触れる。


「どさくさ紛れに触ってる。ジューン怒らないと」

「故意じゃないのはわかってるから」

「そんな事言っているとこの男、調子に乗るわよ」


「きゃっ」


 ジューンが潰れて俺と絡み合った。

 色々と不味い大勢だ。


「ほら、また触っている」

「仕方ないだろ。そういうゲームなんだから」


「審判交代。スグリ、審判やりなさい。エッチな顔した罰よ」

「分かったよ」


 きゃあきゃあわいわい言いながら、ツイスターゲームを3人で楽しんだ。

 いい気分転換になった。


 二人と別れ、部屋で再びボトルシップを組み立てる。

 今度は雑念を振り払う事が出来た。


 ストレスが溜まっていたようだ。

 ツイスターゲームなんかで気分が晴れるものなんだな。


 ボトルシップが完成したので、俺は無限収納からジューンが明日使う猫車を出した。

 舟というか箱というかバケットにドリルで穴を開け。

 猫車の先端に刃物をボルトとナットで固定した。


 まきびしを踏むと大変だから、タイヤをノーパンクタイヤに交換した。

 ノーパンクタイヤ、3000円なり。


 バケットがプラスチックだと強度が問題だな。

 先端部分を鉄板で補強。


 こうしておけば、これで突く事ができて、ゴブリンぐらいは何とかなるだろう。

 改造するならショッピングカートの方が良かったかもな。


 ゾンビ映画だと常套手段だ。

 車輪がショッピングカートだと小さいな。

 草地には向かないみたいだ。

 やはり猫車で正解か。


 部屋で俺がトンテンカンとやっていたのが聞こえたのか、ジューンがやって来た。


「うわっ、うちのために作ってくれたんや。うれしい」

「明日、見せて驚かそうと思ったんだけどな」


「なんだかんだ言ったって、うちの事見ててくれるんやね」

「俺達はパーティだからな。俺はリーダーだ」

「頼りにしてるさかい。ご褒美や」


 俺のほっぺにジューンがキスをする。

 このぐらいでは動揺などしない。

 顔が赤くなったりもな。

 小学生じゃないからな。


「女神にキスを頂いて勇気が増えた気がする。ありがと」


 ジューンが赤くなった。

 うぶなんだな。


「女神なんて褒めんでも。うふふ」


 ジューンとのわだかまりが全て解けたような気がする。

 一段落したようでよかった。

 今日は気分よく眠れそうだ。

 悪夢を見ないといいのだが。


 ジューンの夢をみた。

 ジューンと全裸でツイスターゲームをしている夢だ。

 もつれあって、そして。

 まあそのなんだな色々というか、エロエロだ。


 うわっ、飛び起きた。

 くそっ。

 詳しくは言わない。

 この歳になって恥ずかしい。

 やっぱりエロ本は必要だ。


 無限収納というばれない隠し場所があるのだから、買うべきだな。

 使用する時にどこでするのかは問題だが。

 とにかく、ジューンがエロいのがいけないんだ。

 今度見つかったらそう言い訳をしよう。

 軽蔑されるだろうけど。

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