明日 【芭月視点】
私は日記を閉じて机の引き出しにしまった。窓の外をみれば、さっきまで雲に隠されていた大きな満月が明るく夜を照らしている。
三編みをほどき、眼鏡を机の上に置いた時にスマートフォンが光り、見れば星野さんからの電話だった。
『――――――』
「こ、こんばんわ」
『――――――』
「うん、………はい」
『――――――』
「大丈夫ですよ」
『――――――』
「良かったですね」
『――――――』
「えっ!?」
星野さんは連休中はお出掛けで、健流君とは会えない話をしていたけど、今日の夜にお土産を渡しながら夕食を一緒に食べたとの事。そして別れ際にキ………きゃぁぁぁぁぁ!
少し星野さんの惚気話を聞いてから、私が話をする番になった。今日あった出来事を星野さんに話す。
『友達』が嫌いだった私の心を溶かしてくれた星野さん。まだ星野さん以外のクラスメイトとは上手く話せていないけど、先日の桐笆君と健流君のツーショット写真が出回ってからは、私に話しかけてくれる女の子も増えてきた。
『――――――』
「はい、明日……」
『――――――』
「うん、宜しくお願いします」
『――――――』
星野さんとの電話を終えて、暫くスマートフォンの画面を見ていた。
頑張れ芭月!
一旦スマートフォンを机に置き、大きく深呼吸をする。窓の外の満月を見ては、机の上に視線を戻す。そして目に止まった髪ゴムと眼鏡を、そっと手にとり、袖机の引き出しにしまう。
再びスマートフォンを手にとり、小刻みに震える指で桐笆君にメールを作った。
『明日の朝、学校前のバス停から一緒に登校お願いします』
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