大歴元年~真祖歴の終わり

聖歴終了後10000年頃。アハティアイリス大陸において<ノエ文明>が発生。ウルズハンザ王を頂くウルズバレンス王国が勃興。大歴を制定。通貨は<ロド>。庶民の平均年収は約百五十万ロド。


大歴000022年。初代ウルズハンザ王<カイエン>が急逝。息子である九歳の王子<ルカイス>が王位を継ぎ、宰相バティシアが国を治める。


大歴000028年。二代目ウルズハンザ王<ルカイス>がわずか十五歳で夭逝。宰相バティシアが第三代ウルズハンザ王に就任。しかしルカイスは死んでおらず、カイエンの側室の一人であったカーマという女性と共に辺境へと逃れていた。つまりルカイスの夭逝は宰相バティシアによる偽装であり、危うく暗殺されるところをカーマに救われたということである。


大歴000043年。三十歳になったルカイスは、養母カーマの死をきっかけに、バティシアの圧政に苦しんでいた者達をまとめ上げ、<真正ウルズバレンス王国>を勃興。ウルズバレンス王国との戦争に突入する。


大歴000044年。第三代ウルズハンザ王バティシアが何者かの手により暗殺され、ウルズバレンス王国は真正ウルズバレンス王国に降伏。<大ウルズバレンス王国>として再編される。なお、バティシアを暗殺したのはルカイスの養母であるカーマが生んだ娘<クラティ>であるとも言われているが真相は不明。また、暗殺者として活躍したとされるクラティはこの後の消息が判然とせず、死亡したとされている。通貨は<ルグ>に改められ、庶民の平均年収は約二百五十万ルグ。


大歴000046年。改めて第四代ウルズハンザ王となったルカイス成婚。王妃<ララティス>を迎える。一説にはこのララティスがクラティではないかと言われているがこれまた真相は不明。ララティスには豪商の娘という明確な来歴があり、ララティス=クラティ説は必ずしも有力とはされていない。


大歴000238年。第九代ウルズハンザ王<アグハート>が、隣国<ルドキティシ王国>の王太子<ドーキン>に殺害され、大ウルズバレンス王国とルドキティシ王国とが開戦。実に百年に及ぶ泥沼の戦争へと突入していく。この時、大ウルズバレンス王国の庶民の平均年収は三百万ルグ。ルドキティシ王国の通貨は<コディフ>。庶民の平均年収は約八百万コディフ。


大歴000342年。開戦より百年余り続いた大ウルズバレンス王国とルドキティシ王国の戦争が、双方の国王が共に急逝したことで厭戦に傾いていた空気を確定させ、戦争終結。ただ、あまりに殺し合いを続け過ぎたことで双方の国民にはお互いに恨みが深すぎ、テロが横行。長すぎた戦争に疲弊していたこととも合わせて国体を維持できなくなり、無政府状態へ。双方の通貨、ルグもコディフも価値を失い、物々交換に戻る。


大歴000369年。ほぼ国として機能しなくなった大ウルズバレンス王国とルドキティシ王国の国土は、争いを嫌った者達は周辺国へと逃れ、憎悪に取り憑かれた者達による殺戮と破壊の地となり、事実上の封鎖状態になっていたが、両国が事実上消滅してから台頭した<ムブティア王国>を筆頭とした周辺国の連合軍二十万騎による掃討作戦が行われる。


大歴000373年。連合国軍による掃討作戦が終了。計上されただけでも実に十六万人の死者が出たとされる。これは、連合国側の死者数四万人を含む。


大歴000374年。大ウルズバレンス王国とルドキティシ王国の跡地は<禁忌の地>とされ、改めて封鎖される。


大歴013631年。一万年以上停滞していたノエ文明に、クォ=ヨ=ムイが降臨。転換期が訪れる。異世界から<魔法>を用いる超常の者が召喚され世界をかき乱して混沌の時代へ。しかし魔法を使えるのはその者だけだったため普及はしなかった。


大歴313945年。アハティアイリス大陸から始まった混沌の時代は他の三つの大陸も巻き込んで、人々がただ争い続けるだけの世界として三十万年を過ごした。そこに再び魔女ケェシェレヌルゥアが降臨。<エブリンの破滅>を引き起こしてすべてをリセット。大歴が終わる。


大歴が終わって約二十万年後。フォルゴル大陸、レイオスティーリア大陸、ルブネア大陸それぞれに新しく文明が生じるも、アハティアイリス大陸ではエブリンの破滅の影響か、人間が増えることがなかった。そしてフォルゴル大陸に生じた<ククル文明>にてビドミラム王国が勃興。真祖歴が始まる。


真祖歴020018年。文明の進歩は非常にゆっくりだったが、錬金術師<ロドリフ>によってようやく鉄器が発明される。なお、文明の進み具合が遅いのは、邪神クォ=ヨ=ムイの干渉によるものだった。文明が急速に進むと人間同士の争いが激しくなり、せわしなく状況が変わってじっくりと楽しめないからである。ビドミラム王国の通貨は<ルタシ>。庶民の平均年収は約五百万ルタシ。


真祖歴020199年。ビドミラム王国は大量の大型船を作って海に乗り出し、他の三つの大陸にも足を延ばす。


真祖歴020355年。レイオスティーリア大陸に亜人の国家<ムブリクドゥーア>が勃興。ムブリクドゥーア人は長い耳と長身、プラチナブロンドが特徴の亜人だった。同じレイオスティーリア大陸に生じた人間の国家との戦争に勝利、地位を確立する。ムブリクドゥーアの通貨は<アラータ>。庶民の平均年収は約四百五十万アラータ。


真祖歴020478年。フォルゴル大陸の七割を掌握したビドミラム王国と、レイオスティーリア大陸の五割を掌握したムブリクドゥーアとの間で戦争が勃発。レイオスティーリア大陸に侵攻したビドミラム王国に対し、ムブリクドゥーアは地の利を活かして戦争を優位に進めるが、物量に勝るビドミラム王国が徐々に圧倒し始める。


真祖歴020480年。ムブリクドゥーアの首都<アル・ムブリカ>陥落。首長<レソハリク・ルーディナ>がビドミラム王国の軍によって拘束され、ムブリクドゥーアが事実上の敗北。しかし、徹底抗戦を主張する主戦派は各地に潜伏しゲリラ戦に移行。五十年間に及ぶ抗争に突入する。


真祖歴020533年。ムブリクドゥーアを植民地として統治していたビドミラム王国だったものの、国内の政情が不安定化し、植民地支配に十分な力を注げなくなったことで、ゲリラ組織<ムブリクドゥーア自由解放同盟>との間で停戦交渉が始まる。


真祖歴020534年。ビドミラム王国内がさらに不安定化し、王国としての求心力が低下。ムブリクドゥーア自由解放同盟との停戦交渉もなし崩し的に合意に至り、ムブリクドゥーアが正式に解放される。しかし、主権を取り戻したのも束の間、今度は元ムブリクドゥーア自由解放同盟のメンバー間で権力闘争が始まり、そこに、エヴリネートス人による国家<ルベスホルン王国>が突如侵攻。電撃作戦によって元ムブリクドゥーア自由解放同盟の有力なメンバーのほとんどを殺害。ムブリクドゥーアを併合する。この後、ムブリクドゥーア人は<奴隷>として使役される。ルベスホルン王国の通貨は<ドリヌ>。庶民の平均年収は約五百五十万ドリヌ。


真祖歴020538年。ビドミラム王国で王位争いを切っ掛けとした内戦が勃発。


真祖歴020539年。ビドミラム王国の王位争いは泥沼化し、結局、三つの国、<ビドミラム・アタルス王国><ルーダ・ビドミラム王国><ザレフトン公国>へと分裂する。しかしすでにかつての栄華は失われ、周辺国の属国へと転落する。その一方で、ビドミラム王国が開拓した航路は大陸間の交易に利用され、人間が増えなかったアハティアイリス大陸を除く三つの大陸で経済が発展、自由経済主義が広まっていく。また、ダイヤモンドの流通も盛んになり、ダイヤモンドの取引を牛耳るギルドが力をつけていく。


真祖歴037006年。ルブネア大陸の<ワルド商国>の冒険者<リドギ>が、息子の<アドアガル>と共に大陸中央のレドレイ山脈で<ルブネアの奇跡>と名付けられる直径二百メートルに及ぶダイヤモンド単結晶を発見。その存在が世に知られるとダイヤモンドの価格が暴落。その取引で財を成していたいくつもの商社が倒産。さらに、ダイヤモンドの取引を牛耳っていたギルド<アルモサン>も大打撃を受け、その腹いせに殺し屋を差し向けてリドギを殺害。息子のアドアガルは辛くも逃げ延びるも追われる身となり、対抗するためにアドアガル自身も裏社会に足を踏み込んでいく。


真祖歴037013年。ダイヤモンドの値崩れ(それまでの百分の一)により大打撃を受けていたギルド<アルサモン>の実力者達が次々と暗殺され、瓦解する。それを実行した暗殺者は通称<キシリスの猟犬>と呼ばれる、顔も本名も性別すらも判然としない謎の人物だった。なお、キシリスの猟犬の正体はアドアガルと彼の妻<クルリカ>の二人で一人の暗殺者である。ただ、アルサモンは多くの商社の仲介役も兼ねていたことで、そのパイプを失った商社の多くが続けて倒産し、ワルド商国の経済に深刻なダメージを与え、周辺国からの信頼も失って<デフォルト>に至った。事実上、アドアガルとクルリカは国を滅ぼしたことになる。これを機に世界は経済的に停滞へ。


真祖歴042611年。長く停滞し、漫然と過ごしていただけの世界に、<ラトハガヌスフ>という商社が現れ、世界経済を牛耳って動かし始める。ルブネア大陸で発見された直径二百メートルのダイヤモンド単結晶<ルブネアの奇跡>を取り込んだ要塞のような巨大ビルを建て、本社とした。通貨は<レオドフ>。庶民の平均年収は二百万レオドフ。


真祖歴042628年。ラトハガヌスフは世界中で発明されながらも利用されてこなかった各種発明品を片っ端から買い上げて商品として販売・運用を始める。蒸気機関、電気をエネルギーとする照明、飛行機、窒素肥料等のありとあらゆるものを活用し、世界経済を活性化させていく。


真祖歴053953年。商社ラトハガヌスフは世界そのものを動かす機関となり、ありとあらゆるものを事実上、支配した。そして<暗黒大陸>となっていたアハティアイリス大陸にも進出。大陸のほぼ中央に位置する直径二千キロのクレーターを利用して巨大な半地下都市国家<バルブドゥル>を建設。その中央には全高千メートルの巨大ボイラーを備えた太陽炉を建造。バルブドゥルの象徴とした。


真祖歴135470年。技術者<ロード・メルティスス>が物理書き換え現象を技術的に再現することに成功。


真祖歴135472年。事実上の世界政府となったラトハガヌスフは、世界中の英知を集めて巨大人型ロボット群<カルッセウス>を開発。これを<対邪神用決戦兵器>として運用した。ラトハガヌスフは魔女ケシェレヌルゥアの化身が興したものであり、邪神<クォ=ヨ=ムイ>への反抗を行うための布石だった。


真祖歴236624年。十万年の年月をかけて<対邪神用決戦兵器カルッセウス>は改良を重ね、物理書き換え現象を顕現する機関<アクネトゥルアカ>の搭載に成功し、惑星すら破壊する火力と数万年単位の継戦能力を得、真に<対邪神用決戦兵器>として完成を見る。


真祖歴236635年。巨大人型ロボット群<対邪神用決戦兵器カルッセウス>二十七万騎を投入。邪神クォ=ヨ=ムイに戦いを挑むも敗北。三十二の植民惑星に入植していたエヴリネートス人社会すべてから一切の技術も文明も記憶も奪われ、真祖歴が終わる。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る