おまけ1



(おまけ1)



司書「……」


友「……」


司書「……」


友「……」


司書「……」


友「……」


司書「……何か喋りましょうか」


友「……はい」


司書「……」


友「……」


司書「……喋りましょう」


友「……は、はい」


司書「…………しゃべ」


友「らないんですか!?」


司書「……」ビクッ


友「喋りましょうよ」


司書「…………け、けしきがきれいねー」ボウヨミ


友「そうですね」


司書「……」


友「司書さん、顔赤いですよ?」


司書「……」


友「……」


司書「……」


友「……」


司書「……顔から火が出そうね」


友「……」


司書「こういうムード、緊張しない?」


友「……はあ、いやその、初めてなので」


司書「……なんかごめんなさい」


友「いえ、はい……」




(二回目)



友「……」


司書「……」


友「……」


司書「……」


友(水族館ではそこそこ喋れたのに、なんでこうなってるんだ! さっき司書さんが言ってた通りムードかムードだムードに違いない……)


司書「……」


友(でも、わたしは実はこうなることを見越して会話に困ったときの話題をネットで検索したのだ!)


友「……あの、司書さんの今一番欲しいものってなんですか?」


司書「友ちゃん」ボソッ


友「え」


司書「……」


友「……」


司書「……え」


司書「え、え……あ、えっ」ドギマギ


友「……」


司書「……」カァァァァァ


友(なにこれ、聞き流せばいいのか!?)


友(いやいやそんなのできないでしょふつう! ふつうに考えて!)


友「……」スクッ


司書「……」


友「……」テクテク


司書「……」


友「……司書さ……、ん?」


司書「……え?」


友「うしろ見てください」


司書「……うしろ?」


友「窓に」


司書「なにこれ」


友「……」


司書「……」


友「……あ」


司書「……ん?」


友「これ、妹の字です」


司書「妹ちゃんの?」


友「はい」


司書「てことは……」


友「そういうことなんですかね」


司書「そうじゃないかな、多分」


友「……」


司書「……」


友「……司書さんは?」


司書「……え」


友「……わたしのこと、どう思ってるんですか?」


司書「……」


友「……」


司書「………………好きよ」


友「嘘じゃないですか?」


司書「……」コクコク


友「どれくらい、ですか?」


司書「どれくらい、って……」チラッ


友「……」ジッ


司書「……言葉では言い表せないくらい?」


友「ごまかしてません?」


司書「ごまかしてない」


友「わたし司書さんのことめっちゃ好きです」


司書「……そう」


友「……なんか照れますね」


司書「……そうね」


友「わたしたち両思いですね!」キャッキャッ


司書「ね」


友「……で、えっと、どうしますか?」


司書「友ちゃんさえ、よければ」


友「いいですよ」


司書「……そう」


友「……手、握りますね」ギュッ


司書「うん」


友「うれしいです」


司書「わたしもよ」


友「……」


司書「……」クイッ


友「……?」


司書「……」ギュッ


友「……」


司書「……」


友「……司書さん」


司書「うん」


友「……なんか、景色、すっごく綺麗ですねー」


司書「……なにそれ、外なんて少しも見てないじゃない」クスクス





<バー(反省会)>



司書「……なんでだろ、ほんとに」グスグス


姉「だいじょーぶだいじょーぶ、わたしも同じようなものだったし……」


司書「……で、でも、わたしがリードしなきゃって」グスグス


姉「……わ、わたしもリードしなきゃみたいなのはね、思ってたからね」サスサス


バーテン「あらら、今日はいつもと逆ね」ニコニコ


姉「でもでも、司書ちゃんがそんなにへたれだなんて知らなかった」


司書「へたれって言わないでよ」


姉「もっと経験豊富なのかと思ってた」


司書「……」


姉「……ていうかまず、司書ちゃんってそうだったんだ」


司書「……まあ」


姉「知らなかった……」


司書「いや、言う機会ないし……」


姉「……バーテンちゃんは知ってた?」


バーテン「えー? もちろん知ってたけどー?」


司書「ちょっと! バーテンちゃん!」


バーテン「それと、司書ちゃんがネコっていうのも薄々思ってたから、驚きも薄いかも?」


司書「やめてまじでやめてほんとに」


バーテン「だってぇ、そういう相手がいるって言ってたときもネイルしてたじゃない」


司書「……いや、でも、それだからそうって一概には言えないよ?」


バーテン「けど、そうなんでしょう?」クスクス


司書「……」チラッ


バーテン「……」フイッ


姉「……ちょいちょい、二人とも、猫ってなに?」


司書「えっ」


バーテン「えっ」


姉「えっ」


司書「……」チラッ


バーテン「……」チラッ


司書「……姉さんは、まあ、関係ないと思うし」


バーテン「そうね、姉ちゃんはいいんじゃないかしら」


司書「でも、ネコかなぁ」


バーテン「そうね、ネコね」


姉「なんだよそれー! もー!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る