第7話




姉「──顔に決まってるでしょーーっ!!!」ガバッ


姉「……」


姉「…………」


姉「…………?」キョロキョロ



チュンチュン



姉「……あ」


姉「……」


姉「夢か……」





<学校>



姉「はい、みなさん。おはようございます!」



\オハヨウゴザマース/



姉「今週──昨日までは定期試験お疲れ様でした。採点はまだ終わってないですが、答案を見るとだいぶ苦戦してたみたいですね」



ガヤガヤ



姉「あと少しで冬休み、こういう時こそ気を緩めずに過ごしましょう」


姉「前々から言ってますけど、教室内の私物の撤去、ロッカーの整理などは各自で行なってください」


姉「それと、冬期課外の受付は今週までとなっていますので忘れずに」


姉「その他の連絡事項は特にないので、えーと……では、一時間目の準備に移りましょう」





姉「……」テクテク


姉「……」テクテク


生徒A「あ、姉せんせー、こんにちは」


生徒「こんちはっす」


姉「こんにちは」


生徒B「あれ、髪切りました?」


姉「ちょっとね」


生徒B「めっちゃ似合ってますよ」


生徒A「かわいい」


姉「ありがとう」


生徒A「かわいさ分けてください」


生徒B「ついでに頭も」


姉「あはは、褒めても何も出ないよ?」


生徒A「テストの点おまけしてください」


姉「うわ正直だなあ……」


生徒B「姉せんせーテスト簡単に作ってくれるって私と約束してたじゃないですかー」


姉「してないしてない」


生徒A「補習かかったら冬休み消えちゃう」


生徒B「やばい」


姉「まあ、もし赤点でも追試があるし」


生徒B「補習は先生じゃないんですよね?」


姉「うん。わたしは課外担当」


生徒B「じゃあ頑張んないとなー、他のヤツビミョーすぎるし」


姉「こらこら」



キーンコーン



生徒A「あっ、予鈴なった」


姉「次の時間は?」


生徒B「世界史です、アイツっすアイツ」


姉「あー、また! 先生のことアイツとか言っちゃダメだってー」


生徒B「姉先生のことは言わないのでセーフっす」


生徒A「全教科せんせーだったらいいのに」


姉「そういう問題じゃないんだけどなあ……、ていうか、行かなくていいの?」


生徒A「遅刻したら怒られるんで行きます!」


生徒B「先生じゃあねー」ヒラヒラ


姉「はいはーい」ヒラヒラ




<職員室>



姉「……」キュッ


姉「……」キュッキュ


姉「……あー、惜しい」


姉「ここの部分点が、五点。……で、おおー、今回は頑張ったのね」


姉「……」


姉「……」フムフム


姉「……って、続きやらないと」



姉「……」カタカタ


姉「……」カタカタカタカタ


姉「……」カタカタカタカタカタカタ


姉「……」ッターン!


姉(よし、終わり。やっと終わったー)


姉(あとは他の先生と採点基準の再確認をして、もっかい見直して……んー、次の授業には返せそうかな)


姉(ていうか、平均点普通に低いなー……。そこまで難しくした気はなかったけど)


姉(小テストから数値いじっただけの問題はみんな軒並み点数取れてるのは良いのか悪いのか)


姉(そこで稼げてれば赤点にはならなくて、稼げてなければ赤点っていう狙い通りには行ったし、でもどうなんだろう……)



同僚「おっ、もしかして姉先生採点終わりました?」


姉「もう一回確認はするつもりですけど、いちおう終わりました」


同僚「いつものことながら今回も速いですね」


姉「……先生は?」


同僚「二クラス分は終わってるので、今日は残って終わらせます」


姉「大変ですね」


同僚「まあー、姉先生もやってることだし」


同僚「それで、どうでしたか? 姉先生の持ってるクラスの結果は」


姉「そうですね……、想定より高くもなく低くもなく、少し低いくらいです」


同僚「普通に低かったと」


姉「あー……まあ……」


同僚「こっちも同じ感じですから」


姉「ハコ六の問題、完答が一クラスでも数えるほどしかいなかったです」


同僚「でも良い問題だったと思いますよ」


姉「それは、えっと、ありがとうございます」


同僚「ちゃんと赤点も満点もいたので大丈夫だとは思います」


姉「えっそれは大丈夫なんですか……?」


同僚「差が出るのはいいことです」ニコ


姉「わたしの担当クラスには満点はいなかったです」


同僚「ああ、うちもまだ一人だけ」


姉(ですよねー……)


同僚「誰か知りたいですか?」


姉「……え? まあ、興味はあります」


姉(誰だろ? 先生の担当クラスだと──)


同僚「妹さん」


姉「……」


姉「……」


姉「…………あ、はい」


同僚「しかも文句なしの満点」


姉「えっすごい」


同僚「学生時代の姉先生くらい成績優秀ですよ」


姉「いやいや、そんなことないですって」


同僚「謙遜しなくていいのに」


姉「や、その、……先生にはいろいろとご迷惑をおかけしましたから……」


同僚「ふふふ、そんなこともありましたね」クスクス


同僚「ああ、せっかくの華金に呼び止めちゃうのも良くないですね。このまま帰り?」


姉「いえ、今日は──」


同僚「飲んでいくのね」


姉「まあ、はい」


同僚「あんまり飲みすぎないように」


姉「わかってますようー、先生はやっぱり先生だなあー」


同僚「いつまで経っても教え子は教え子」ニコリ


同僚「じゃ、おつかれさまでした」ペコリ


姉「おつかれさまです。お先失礼します」ペコリ


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