第25話:噛む

 白に近い金髪がオレの鎖骨を流れ、細い指が優しくオレの胸に触れる。その優しさが、オレはどうも気に食わない。


「はっ……んんっ」

「なんで声出さないんだよ。他の奴と寝る時は喘いでるのか?」

 こいつはいつもこうだ。詮索ばかりして、屁理屈ばかり投げつけてくる。

「んっ!」


 愛撫が少しずつ激しさを増していく。オレの肌に一番慣れた温度が徐々に上昇し、オレの頭は快楽で溶けるような感覚に襲われる。


「だからたえるなよ、声出せって」

「うる、さいっ」


 言い捨てると神谷はオレの性器を握って刺激を与えてきた。溶ける、自意識が流れてしまう。


「かみ、神谷——! あっ!」


 神谷が一気に自分のものをオレに突き刺した。嗚呼、やっぱりこいつのが一番オレの身体にフィットする。


「俺を感じてくれ」


 そう言って神谷は動き始めた。


「ふっ、ふあ、くっ……」

「声を聞かせてくれ。俺を感じてるおまえの声が聞きたいんだ」


 ドンッと神谷のものがオレの奥を突いた。


「あっ!」

「もっと声を——」

「ん、ん、んっ!」

「なんでだよ……」


 神谷は悔しげに言ってオレの足を抱え、激しく腰を打ち始めた。クソッ、これは——


「くっ、んんっ! あ、ぁああっ!」


 失態、射精した瞬間嬌声をあげてしまった。

 しかしオレの中の神谷はまだ達していない。卑猥な音を立てながら何度もオレの奥を突き、素早く抜いてオレの腹の上で果てた。その温度がとてつもなく不快だった。


「神谷! オレの肌が汚れる!」

「じゃあ一緒にシャワー入ろう。洗ってやるから」

「結構だ。ティッシュ寄越せ。自分で拭いて洗う」


 オレがそう言うと、神谷は肩をすくめ、


「分かりましたよ。天下のカリスマ、谷津いおい様」


 と、小馬鹿にしたように言った。

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