亮太編



 あの手この手を使って片瀬に告らせようと頑張った。


 甘えてみたりやきもちをやかせてみたり。


 ダメだ。


 強すぎる。


 なぜだ。


 なぜアイツは告白してこないんだ?


 俺から言ってみるか?


 いや、それはなんか負けた気がする。


 悶々とする日々にいい話が舞い込んだ。


 これだ!


 親戚のおばちゃんに頼まれた山の家の片付け。


 俺は片瀬を誘ってベストなシチュエーションを用意した。


 はずだった。


 片瀬はなんらいつもと変わらなかった。


 黙々と掃除や片付けをしてくれた。


 がたいがいいせいか力仕事をする姿が格好良かった。


 汗だくになりながら袖を肩までまくり上げると腕の筋肉が際立って見える。


 俺はあの腕に抱かれるんだ。


 そう考えると俺の下半身が騒ぎ出していた。


 なんで俺が片瀬にドキドキしてんだよ。


 てか、俺って男にも勃つんだな。


 やべえよな。


 抱かれることを想像しながら風呂で抜いていた。


 片瀬も俺でオナニーとかすんのかな。


 俺とのセックスを想像してんのかな。


 もしかしたら、いや、確実に片瀬って童貞じゃねえ?


 はあ。


 俺が片瀬の童貞を奪うのか。


 はは。


 こんなことを考えてもムダだ。


 あーあ。


 このまま何もないまま二人の時間も終わるのかな。


 そう思っている時に山に台風がきた。


 俺は昔からマジで雷や風の音が怖かった。


 怖くていてもたってもいられなくなった。


 ここは恥を捨てて片瀬の布団へと潜り込んだ。


 片瀬の大きな胸を借りた。


 片瀬のにおいだ。


 なんか落ち着くな。


 にしても片瀬、心臓の音すげえな。


 大丈夫かなコイツ。


 童貞にはいきなり刺激が強すぎたか?


 って、やべえ。


 片瀬が頭を撫でてくれる。


 これ好きなんだよな。


「俺、片瀬に頭撫でられんの好き」


 は?


 何言ってんだよ俺。


 自分でも驚いていた。


 片瀬も真っ赤になっている。


 もうひと押しか?


 ん?


 片瀬、勃ってんな。


 うん。間違いない。


 一瞬触れた堅い感触は間違いなく片瀬のアレだ。


 てか、デカくない?


 あれ挿入はいんのかな?


 やべえ、俺まで勃ってきた。


「わっ」


 停電……。


 片瀬がろうそくを取りに行った。


 なんだよ、もう少しだったのに。


 俺は寝たふりをして下半身を落ち着かせた。


「ごめんな亮太」


 ん? 片瀬どうした?


「俺が好きなのは亮太、お前だけだ」


 ドキッ。


 あっ。


 唇にキスされた。


 ん……長い長い。


 はむはむすんなよ。


 起きちまうだろ?


 ああもう、キス上手かよ。


「やっべえ」


 俺もビンビンだよ。


 やべー。






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