第7話



 音をたてて停電した山小屋の中は真っ暗になった。


「確かろうそくあったよな。俺取ってくる」


「おう」


 俺はスマホの明かりをつけて起き上がった。


 確かキッチンの引き出しにろうそくがあったはずだ。



 いやいやいや。


 あっぶねえぇぇ。


 俺は何を言おうとしてたんだ?


 亮太が好きだって?


 俺のこと好きじゃなくてもいいから付き合ってって?


 そんなこと絶対に言っちゃダメだ。


 さすがの亮太も男に告られたら引くだろうし気持ち悪がられるだろう。


 ましてやこんな山の中で二人きりの時に。


 悪かったな亮太。


 俺は気持ちを落ち着かせてからろうそくの火を持って部屋に戻った。


「大丈夫か? 亮太」


 薄明かりの中、俺の布団で寝ている亮太の顔を見た。


「亮太?」


 なんだ、寝ちまったのか。


 俺は亮太の横に寝転んだ。


 仰向けに寝ている亮太の髪の毛を撫でた。


 寝顔が可愛いな。


 好きだぞ、亮太。


「ごめんな亮太」


 こんな気持ち悪い俺でごめん。


 もう二度と言わないから、今だけ許してくれ。


「俺が好きなのは、亮太、お前だけだ」


 俺は寝ている亮太の唇にそっとキスをした。


「……やっべえ」


 亮太の唇は想像していたよりも柔らかくて気持ちよかった。






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