第6話
「なあ、片瀬」
「ん?」
抱きしめたままの格好で亮太が喋った。
「俺、お前に頭撫でられるの好き」
「はあ? そ、そうか?」
な、なんだよ今の不意打ちは。
可愛いすぎかよ。
「なんで片瀬は彼女つくんないの?」
「またその話しかよ」
「だってさ、がたいもいいし顔も格好いいし優しいしモテるのにさ」
俺が優しいのは亮太にだけ、だけどな。
「俺が出会ってからの片瀬は一度も彼女いたことないじゃん。不思議に思うだろ?」
顔をあげた亮太と目が合った。
「いいんだよ、俺は」
心臓のドキドキ、バレてねえかな?
「前に言ってた、好きなヤツがいるから?」
「ん? ああ」
「何で告んないの?」
「告っても見込みないのわかってるし」
もう俺は親友としてお前のそばに居ようと決めたんだよ。
「そんなの言ってみなきゃわかんねえじゃん。片瀬なら絶対大丈夫だって」
「んなことねえよ」
「なんでだよ。俺が女だったら喜んで付き合うぞ?」
女だったらな。
でもお前は男だ。
「いいからお前は自分の心配しろよ。そんなにフられっぱでこの先どうすんだよ」
「はは。それもそうだな」
「だいたい好きでもないヤツと付き合うからだろ?」
「だって……」
「それが亮太の優しいところなんだろうけどさ」
「ちゃんと付き合う前に言ってんだよ。俺は好きではないけどこれから好きになるかもしれないって。それでもよければどうぞってさ」
「どうぞってお前、じゃあもし俺が……」
――バチッ――
「わっ」
「あっ」
「……停電だ」
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