第1話 いやあああぁぁぁぁ!! 僕のパンツ返してええええぇぇぇぇ!!

鉄也

「いやあああああああぁぁぁぁぁ!! 僕のパンツ返してええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 僕の名前は『犬島 鉄也』。ちょっぴり特殊な過去を持っている他はどこにでもいる普通の男子高校生。


 そして現在、水泳の授業後、僕は男友達にパンツを盗まれ全力で追い掛けていた。


男友達

「フハハハハハハハ!! 鉄也!! お前が悪いのだ!! お前がパンツを脱いだから悪いのだ!! そんなに大事なら常に持ち歩くべきだったな!! この猫ちゃんパンツは貰っていくぜ!!」


鉄也

「なんで男物のトランクスを持っていくんだよ!? 僕のパンツを返してよ!!」


男友達

「鉄也が悪いのだ!! 水泳の授業中は女性物の水着を着ているのに制服は男物を着ている!! おかしいとは思わなかったのか!? 自分の性別をしっかり理解できているのか!?」


鉄也

「校長先生から『女子用の水着を着ないと男子が興奮するから』って言われたから仕方なく着ているんですよ!!」


男友達

「バカめ!! 女子用の水着を着ても興奮するわあああああぁぁぁぁ!!」


鉄也

「なんで男に興奮するんだよおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!! おかしいだろうぅぅぅぅぅ!! 違うだろうぅぅぅぅぅぅ!!」


男友達

「お前のような可愛い顔した男の子がいるかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! このマヌケがああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」


鉄也

「僕が1番気にしている事をおおおおおおおぉぉぉぉぉ!! 許さん!! 許さんぞおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」


コウ

「おー。やってるやってるー。夏になって水泳の授業が終わるといつもやってるなー。女子用水着を着て走り回る鉄也か……。これさある意味、夏の風物詩になるんじゃねーかー?」


鉄也

「コウ!! 呑気な事を言ってないで僕のパンツを取り返してよ!!」


 呑気に言っているのは『猿渡 コウ』。僕の昔からの親友だ。僕と違い、身長は高めでイケメン。一部の女子から人気がある。


コウ

「俺と喋っていていいのかー? アイツ、遠くまで走ってるぞー?」


鉄也

「いやあああああああぁぁぁぁぁ!! 僕のパンツ返してええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


コウ

「……平和だなぁー」


鉄也

「僕は平和じゃないよおおおおぉぉぉぉ!! いやあああああああぁぁぁぁぁ!! 僕の猫ちゃんパンツ返してええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


コウ

「なんで猫ちゃんパンツなんだよー?」


鉄也

「姉さんの趣味だよ!!」


コウ

「あ……把握」


男友達

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 鉄也のパンツで今日の夜は興奮しそうだなぁ!!」


鉄也

「いやあああああああああぁぁぁぁぁ!! 僕のパンツ返してええええええええぇぇぇぇぇぇ!!」


コウ

「大丈夫だってー。そろそろあの方が来るだろー?」


アルト

「セイッ!!」


『ベキィッ!!』


男友達

「グビィギャァッ!?!?」


 男友達の鳩尾に回し蹴りを決めた綺麗な女性。彼女の名は『犬島 アルト』。僕の義理の姉だ。養子になった僕の事を気に掛けてくれて、実の弟のように大切にしてくれた女性だ。


アルト

「鉄也。前とお尻は大丈夫? 犯されてない?」


鉄也

「なんの事だか分かりませんが、大丈夫です」


アルト

「……」


 姉さんは男友達からパンツを取るとそのパンツをジッと見つめる。その目は少し血走っているように見えた。すると姉さんはそっとスカートのポケットにしまった。


鉄也

「ね、姉さん?」


アルト

「パンツ、汚れていたから新しいパンツにしなさい」


 そう言うと姉さんは懐から新しいパンツを取り出す。


 ……なんで懐からパンツが出てくるんだろう?


コウ

「なんで懐からパンツが出てくるんだよ!?」


 あ、コウがツッコミを入れた。


アルト

「……私はいかなる状況になっても鉄也が困らないようにいろいろと準備しているだけ」


鉄也

「さすが姉さん!!」


コウ

「騙されるな!! 鉄也!! ソイツ絶対にお前のパンツを盗んでいるぞ!!」


鉄也

「え? 一緒に姉さんと暮らしているのに? そんな事起きるわけないでしょ」


コウ

「そうだった!! コイツ!! バカのアルト先輩と暮らしてたっけ!!」


アルト

「バカとは失礼な……。学年1位の頭脳になんて事を言う」


『バサッ』


 姉さんの服の下から僕の失くしたクマさんパンツが出てくる。


コウ

「アルト先輩……アンタ、鉄也のパンツを盗んだな!?」


アルト

「……貴方のような勘のいいガキは嫌いよ」


コウ

「テメェ!! やりやがったな!! 自分の弟のパンツを盗みやがったな!? 盗むのなんて簡単だよな!! 一緒に暮らしているんだからな!!」


鉄也

「……な、なんの話をしているんだろう?」


男友達

「とりあえず着替えてきたら?」


 男友達が目を覚まして僕にそう言った。そういえば、水着のままだった。


男友達

「早くしないと休み時間終わっちまうぞ」


鉄也

「……貴方がパンツを盗まなければいいのに……」


男友達

「だが断る!!」


鉄也

「もういい……。僕、着替えてくる」


男友達

「おう。そうか。やはり着替えか。俺も同行する」


『ガシッ』


アルト

「行かせるわけないじゃない」


『ガシッ』


コウ

「人の着替えを覗かせるわけねーだろー?」


男友達

「行かせてイかせてください!!」


アルト

「ダメに決まってるじゃない。鉄也の着替えを見るのは姉の特権よ」


コウ

「特権じゃねーよー。とりあえず着替えを覗くのはまずいだろうーがー」


男友達

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


鉄也

「さーて着替えて着替えてと」


 僕は『鉄也専用更衣室』と書かれた更衣室に入り、着替えをしに行く。


鉄也

「今更だけどなんで僕専用の更衣室があるんだろう?」


アルト

「校長先生と理事長先生、教頭先生、体育の先生が話し合って作る事にしたらしいわよ」


鉄也

「……姉さん……更衣室に入って来ないでくださいよ。着替え辛い」


アルト

「気にしないの」


鉄也

「……まぁ、姉さんがそう言うのなら」


コウ

「騙されるな!! 鉄也!!」


 『バーン』と扉を開いてコウが登場する!!


鉄也

「うわっ!? ビックリした!?」


コウ

「ソイツ!! 目が血走ってるぞ!!」


鉄也

「え? 家だとよくある事だけど? 着替えだっていつも見られながら着替えているし」


コウ

「毎日なのかよ!? てか習慣化されているのかよ!? まぁいい!! ここは俺がなんとかするから!! お前はテニス部の方へ行け!! 部長には言ってある!! そこで着替えをしろ!! ここは俺が食い止める!! アルト先輩を相手に何分食い止められるかわからねぇが!! 早く行け!!」


アルト

「コウくん。私に勝てるつもりでいるの?」


コウ

「勝てないと分かっていても、やらないとならない事はあるんでね!!」


 な、なんのやりとりだ? まぁ、コウがそう言うのならテニス部の更衣室を借りようか。


 僕はテニス部の更衣室へ行き、着替えをした。


 教室へ戻るとコウはボロボロになっていた。


鉄也

「コウ。何があったの?」


コウ

「気にするな。いつもの事だ」


鉄也

「まぁ、いつも姉さんとコウが会うとコウがボロボロになっているけど……。本当に何があったの?」


コウ

「さすが、アルト先輩だぜ……」


鉄也

「?」


 そのやりとりの後、授業を受けたり、姉さんとお昼ご飯を食べたりする。


 学校が終わるとバイトへ行く。僕は週に3回『フレッシュプリティー喫茶店』でウェイターとしてバイトをしている。


ーフレッシュプリティー喫茶店ー


鉄也

「いらっしゃいませ。ご注文は何にしますか?」


ドワイト

「んっんー。注文は君で」


鉄也

「ドワイトさん、冗談がお上手ですね。いつものカフェオレでいいですか?」


 彼は『ドワイト』。某ブラック企業で働いているサラリーマンだ。仕事が休みの日はこうしてこの喫茶店に来てくれる常連客だ。


ドワイト

「ラブをたっぷり注入を頼むよ!!」


鉄也

「そういうお店じゃありませんよ」


ドワイト

「なら鉄也ちゃんはなんでメイド服を着ているの?」


鉄也

「メイド服を着ると店長が給料を上げてくれるんですよ。何故か?」


ドワイト

「ふーん。ここの店長なかなかやるね!! グッジョブ!!」


鉄也

「?」


 そんな感じが僕の日常の一部である。


クラスメイトの男

「……この学校……。やばい奴が多くない?」


クラスメイトの女

「今更でしょう。気にしたら負けよ」



後書き


白桜

「お忙しい中、読んでいただき誠にありがとうございます!! 私、作者の『白桜』と申します。もしも少しでも興味を持って頂けたなら評価、ブックマークをしていただけると励みになります!! 感想やレビューなどもお待ちしております!! みんな読んでね!!」

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