第4話

 そんな日が続いたある日、いつもより、腕によりをかけて、私は牧の帰りを待つ妻のようにご飯の準備をしていた。



「今日、誕生日だもんね、牧。フフン」



 ベッドに置いた新しく買った下着を眺めながら頬を染める。







 ――――その瞬間、私は何かに吸い込まれるように背中を引っ張られた。それは物凄い力で体が宙に浮く、瞬く間に漆黒の暗闇に閉じ込められた。



 次に目を開くと、ぼんやりと明るい――――



「やっぱり、持って来なかったねぇ」



 誰かに持ち上げられたように体が浮かびあがる、高い場所に下ろされたと思うと、あの老婆が目に入った。



 お婆さん――――



 声が出ない、どうなっている?

 そうか! 私、招き猫の手――――




「また……コレクションが増えちまったねぇ」





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