第3話

 巷を賑わすイケメン俳優が私と付き合ってくれるなんて、夢のようだ。

 彼は毎晩、仕事終わりにうちに来ては私の作った手料理を一緒に食べた。



「やっぱり藍子の作るご飯は最高だよ」


「本当に? でも牧、この前テレビであのアイドルの子のこと可愛いって言ってたよね?」



 食器を片付けながらテレビの前にいる彼に言う。


「そんなっ、あれ仕事だから、仕事。だからテレビは違うんだって」


「そうかなぁ?」


 分かっている、だけどこう言う。少し意地悪なことを言って、焦る牧が焦るのを楽しんでいるのだ。



「信じてよ……」


「どうしよっかなぁ?」



 彼はこう言うと決まって後ろからハグしてくる、そしてそのまま私は唇を奪われる、その後は成り行きで……



「可愛いよね、牧って」


「え? それは俺の台詞だよ、藍子」



 ベッドで私は牧と付き合っている幸せを感じていた――――

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