龍とリュウトくん

 もう日が暮れ始め、一番星が輝いています。


「やっと星を手に入れることができたが、また船を漕いで帰るには疲れすぎていた。帰り道もよく分からんかったしのお。


 そうするとまたあの妖精が現れて、私がお送りしましょう、と言うのじゃ。途中まで案内してくれるのだろうと思っていたら、子供の姿じゃった妖精がが見る見るうちに大きな龍になったんじゃ。鱗が青く輝いておった。


 背中にまたがって、宇宙を飛んだ。星の景色が見えないくらい速かった。そう、光の粒とも追いかけっこをしたんじゃ。あまりにも速すぎて、速度を落としてくれと頼んだものじゃ。でも龍は急がないと間に合いませんと言うんじゃ。何に間に合わないのかと聞いても答えてくれん。こりゃまた不思議じゃ。


 そしたら、あっという間に家に着いたんじゃ。龍の妖精はいつの間にか消えていたが、その時わしは思ったんじゃ。」


 おじいちゃんは遠い空を見遣ってから、リュウトくんを振り返り、微笑んでこう言いました。


「お前さんの名前は龍斗にしようとなあ。」


 ちょうどその時、お母さんの部屋から元気な元気な産声が聞こえてきたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おじいちゃんの小さな瓶 房成 あやめ @fusanariayame

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ