おじいちゃんの宇宙の旅

「わしは、その日の夜、星を入れる瓶を持って小船に乗ったんじゃ。その船を漕いで宇宙を旅した。それはそれは長い旅だった。どれくらい漕いだか––––。


 近くで見る星はどの星も綺麗じゃった。赤いのやら黄色いのやら、青いのやら。どれも明るく輝き生き生きしておった。


 初めは見つけられるか心配じゃったが、わしはついに星を見つけたんじゃ、妖精が言っていた星をなあ。」


 リュウトくんは夜空に輝く星をしっかりと見たことがありませんでしたが、真っ暗な部屋に電球みたいな色とりどりの球が浮いているところを思い描きました。きっと、それはもう綺麗な景色なのでしょう。


 しかし、その星たちの中からこの星だけをどうやって見つけたのでしょうか。


「他の星よりも一段と激しく青く光っているものがあってな、その星に近づいたら、お前さんの産声が聞こえたんじゃ。それはもう元気な声じゃったわ。」


 産声がどういうものなのかリュウトくんは分かりませんでしたが、きっと特別な声なのでしょう。


「さて、困ったことに用意していた瓶では星が大きすぎて入らないことに気づいた。担いで帰ろうかと思ったがそれも大きすぎでできなかった。


 その時、夢に出てきた妖精が現れたんじゃ。お困りですか、と青空のように凛とした声で言ったんじゃ。星が大きすぎて瓶に入らないんだと言ったら、それはあなたが入らないと思っているだけですよ、あなたが望めばその瞬間に入っているでしょう、と言うんじゃ。


 そんなことあるわけないと思ったんじゃが、妖精が見えること自体普通じゃないのだから、大きすぎるものが小さい瓶に入ってもおかしくないのじゃ。星よ入れとつぶやいたら、その瞬間本当に星が中に入っていたんだ。これには驚いたねえ。」

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