おじいちゃんの宇宙の旅
「わしは、その日の夜、星を入れる瓶を持って小船に乗ったんじゃ。その船を漕いで宇宙を旅した。それはそれは長い旅だった。どれくらい漕いだか––––。
近くで見る星はどの星も綺麗じゃった。赤いのやら黄色いのやら、青いのやら。どれも明るく輝き生き生きしておった。
初めは見つけられるか心配じゃったが、わしはついに星を見つけたんじゃ、妖精が言っていた星をなあ。」
リュウトくんは夜空に輝く星をしっかりと見たことがありませんでしたが、真っ暗な部屋に電球みたいな色とりどりの球が浮いているところを思い描きました。きっと、それはもう綺麗な景色なのでしょう。
しかし、その星たちの中からこの星だけをどうやって見つけたのでしょうか。
「他の星よりも一段と激しく青く光っているものがあってな、その星に近づいたら、お前さんの産声が聞こえたんじゃ。それはもう元気な声じゃったわ。」
産声がどういうものなのかリュウトくんは分かりませんでしたが、きっと特別な声なのでしょう。
「さて、困ったことに用意していた瓶では星が大きすぎて入らないことに気づいた。担いで帰ろうかと思ったがそれも大きすぎでできなかった。
その時、夢に出てきた妖精が現れたんじゃ。お困りですか、と青空のように凛とした声で言ったんじゃ。星が大きすぎて瓶に入らないんだと言ったら、それはあなたが入らないと思っているだけですよ、あなたが望めばその瞬間に入っているでしょう、と言うんじゃ。
そんなことあるわけないと思ったんじゃが、妖精が見えること自体普通じゃないのだから、大きすぎるものが小さい瓶に入ってもおかしくないのじゃ。星よ入れとつぶやいたら、その瞬間本当に星が中に入っていたんだ。これには驚いたねえ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます