第一部 第三章 煉華火の巻

***


 昔は、こんなに暑くなかったですよね。


 自分の体温と同じとか……。


 本当に、夏が苦手になりました。



 ――。


 ……あの晩のことですか。


 もう気にしてないですよ。


 こっちもイヤな思いをさせたんですから、当然です。


 それでも、あの時のあなたの怒った顔、なかなかでしたね。



 ――。



 今なら……違う景色が見えると思うんですよ。



 だから今年は、また花火を見に行きませんか。

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