第44話 エロハプが止まらない

 控室にて。


「次はアメリアの試合ね朝更、早く行こ」


 俺のLLGが着信音を鳴らしたのはその時だった。


「ん? ちょっと先行っててくれ叶恵」

「わかった」


 叶恵が控室から出て行くと、俺はLLGの投影画面を展開。


 着信は電話じゃなくてメール。内容は晶からの『この前はごめんね』メールだった。


「律義な奴だなぁ。あ、この前、晶達に送るビデオレターの撮影、失敗したの消さないと、撮影中に叶恵が風呂から上がってきたからなぁ……あれ、ないぞ……ん?」


 見ると、プレミアム動画数のカウントが一つ増えている。


 なんだろうと思ってタッチし、一番新しい動画を再生すると、それが失敗した動画だった。でも、なんでこっちにあったのか、と思って見ていると叶恵の声がして、画面の中の俺は立ち上がりフレームアウト。代わりにバスタオル姿の叶恵が画面に映る。


 あれ? なんだか嫌な予感がするぞ。

 悲鳴を上げる叶恵にサクラが襲い掛かる。

 サクラが叶恵のバスタオルをはぎ取る。

 叶恵は尻もちをついて開脚。


「ぶはっ!」


 画面を見ながら俺は鼻血を噴いた。

 叶恵が立ち上がり、お尻をこっちに向けながらキック。

 何かが倒れる音がする。俺が倒れる音だろう。

 俺はここで意識を失ったのでここから先の事は知らない。


『あっ、朝更だいじょうぶ!?』


 叶恵が画面の外に消えると、俺を抱きかかえながら画面を横切る。

 気を失った俺は、叶恵の胸に顔をうずめていた。

 叶恵さん、それだと俺が息できません。


『ふ、服着ないとっ』


 全裸の叶恵が画面を横切る。それから下着とパジャマを手にして戻ってきて、画面の前で着替えを始める。

 え? この子、この空中固定画面に気付かないの? いやテンパッているから気付かないんだろうけど、でも、えー?

 画面の外から、


『だいじょぶ朝更、ごめんね』


 という声が聞こえる。いい子だなぁ。

 その時、ハプニングスターサクラ様の手が画面を叩き、右に八〇度修正。

 ベッドの上で俺を膝枕する叶恵が映った。

 叶恵は俺の頬をぷにぷにつついたり引っ張ったりしている。おい、何やってんだお前。


『んっ、何これ……えっ? 録画画面!? あ、サクラあなたね、朝更のLLGいじっちゃダメでしょもお。画面がこっち向いているから……うん、さっきのは録画されてないはず。セーフセーフ』


 セーフじゃねぇよ。


『でも一応消しとこ、えーっと、ゴミ箱に移動っと、よし』


 プツッ

 映像はそれで終わりだった。

 ちなみに、『ゴミ箱に移動』と『プレミアムに移動』は隣り合っている。

 俺はLLGの画面を閉じて、両手で顔を覆った。


「くぅ~、か、可愛過ぎるだろ叶恵」




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