ささみとほうれん草のおかゆ

 へそ天するいぬを眺めながら、今日のおゆはんを考える。

 ささみを茹でた煮汁があるから、おかゆなんて、良いかもしれない。


 ふさふさ。いぬのおなかの毛が、エアコンでゆれている。

 もさもさ。茹で終えたささみを、細かくむしっていく。

 とんとん。これは副菜の棒棒鶏もどき用に、きゅうりを千切りにする音。

 ぐつぐつ。邪道かもしれないけど、炊いたおこめをおなべに入れて、簡易のおかゆにしてしまおう。

 とんとん。お米を煮立てる間、まとめてゆでておいたほうれん草を切っておく。


 お酢と砂糖としょうゆ、ごま油で味を整えて、きゅうりとささみをあえる。我が家の棒棒鶏風。

 おかゆがおかゆになってきたら、ささみとほうれん草をいれて、塩で味を整える。ささみの茹で汁だから、いい感じの味がもう出ているのだ。


 いぬはキッチン、足元をウロウロ。

 ささみもきゅうりも食べるいぬだが、ささみは特に大好物なのだ。


「ただいまー」

「おかえり」


 盛り付けたところにあの子が帰ってくる。

 まつわりつくいぬをなでながら、座り、


「いただきます」

「めしあがれ」


 優しさ多めのささみとほうれん草のおかゆ。棒棒鶏風をそえて。

 あの子はあつあつはふはふ。優しい味のおかゆをレンゲで少しずつ食べていく。

 ときおり、つまむ棒棒鶏風。こってりだけどさっぱりの、酸味がきりりと口の中を引き締める。しゃくしゃくした食感。


 いぬは、おすそわけにささみを貰って、はぐはぐ。

 夢中で食べて、ピカピカになるほどお皿をなめる。


 食べ終われば、ひとりと一匹。寄り添いあって、もう眠い。

 今日も一日おつかれさま。

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