七. 恋
「俺さ、ほんとは萌音のこと好きなんだ」
驚きの告白によって、ボクのうっすらピンク色の両耳がピクンと動く。
いつから好きになってたのか、萌音のことばっか考える──と頭を抱える浬。
「気づいたら、あいつのこと意識してたんだよ。
萌音、俺の気持ちに気づいてるのかな、どうなんだろ。
萌音に聞きたいし知りたいし、たまらなくなる。
でもこんな俺見せたくないから、萌音や友達の前では無理して平気な顔してさあ。
俺、バカだよな。情けない所、好きな子に見せたくないから隠すとかって。
萌音は、あいつは優しい。
小さい頃からそうだったんだぜ、ミルク。
ひとつしかないお菓子さ、自分も食べたいのに俺に全部くれるんだ。
自分のことより人のことばっか気にして世話焼いて。
そんな萌音に当たり前みたいに甘えて。だから俺のこと世話の焼けるめんどくせー奴、とかしか思ってないだろーな。
萌音、いつも笑ってるけど家で泣いてる時もあるんじゃないかなって。
ミルクは萌音が泣いてるところ見たことあるだろ?
……って言っても分かんないか。
萌音はさ、俺のことどう思ってるのかな。
好き──だと嬉しいけど。
他に好きな奴とかいたら俺、失恋確定だな。
ミルク。俺、今苦しい。
人を好きになるって、こんなにも苦しいのか?
恋ってこんなに苦しいのか?
ずっとこのまま苦しいままなのかな、ミルク」
浬の心の叫びを聞いた。
こんなにも顔を歪める表情の浬、見たことがない。
ボクは大きな間違いを犯していたと気づく。
浬は決して恋を知らなかったわけではない。
むしろ恋に焦がれて溺れてしまうくらいに恋を知っていたんだ。
浬はボクに助けを求めている。
助けたい。
でもどうやって?
何か伝える方法はないのか。
──おりひめさまと、ひこぼしさま。
どうかボクに言葉を与えて下さい。
今だけでいい。
今、浬に伝えたい。
どうかボクらに夢を見させて下さい──
☆
突然目の前に雷鳴とともに閃光が走る。
何も見えない。
ただ光だけがそこにあった。
浬はそこにいるのか?
だがボクは以前にも触れたことのある温もりを感じていた。
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