第13話
☆☆☆
職員室の前まで来たとき後方から階段を下りて来る足音が聞こえてきて振り向いた。
その瞬間、思わず道を開けてしまった。
さっきのギャル3人と男子2人、それに大西さんが歩いてくるとことだったのだ。
大西さんは誰かに腕を掴まれているわけでもなく、自分の意思でついて行っている。
「あのっ……!」
あたしの前を通り過ぎる寸前で、思わず声をかけて来た。
ギャル3人が同時にこちらを振り向いてニラミを聞かせてくるので、あたしの言葉は音にならずに消えてしまった。
6人がそのまま通り過ぎて行った時、大西さんと視線がぶつかった。
何を考えているかわからない美少女が一瞬ほほ笑みを浮かべ、そしてウインクをしてみせたのだ。
あたしは唖然として大西さんの後ろ姿を見送ってしまった。
今のウインクの意味はなに?
なにかをあたしに伝えようとしたことは確かだと思う。
だけど『助けて』など、救済を求めるようなジェスチャーではない。
まるでこれから行われることに勝つ事ができるとでもいうようなジェスチャーだった。
「どうしたの心美。早く職員室に行くよ?」
「うん……」
そう答えるが、あたしの足は彼らを追い掛けて階下へと向かっていた。
「ちょっと心美、どこに行くの?」
ヒナが慌てた声をかけて来る。
「後を追いかけてみるの」
「あたしたちがいたって意味ないよ?」
そう言いながらもヒナもあたしの後を追い掛けて来た。
「分かってる。でも……確認したいことがあるの」
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