1章 異世界転生
第5話 教会
カイトの記憶にも教会らしき場所に連れて行ってもらった記憶がある。
父いわく、どうやら宗教らしきものは女神を祀る女神教のみらしい。いわゆる一神教で他の神は人間の世界では存在しない。
教会とはその女神教の事を指す。
ちなみに精霊、妖精などに関しては、この世界では半霊半物質的存在らしく「見かけたことが有る」などと森の中での目撃例が複数確認されているだけで、益も害も無い存在として認識されている。
知的な存在らしいとは思われているが、何せ誰も会話したことが無く確実な情報ではないので教会も否定も肯定もせず黙認しているらしい。
前世の記憶が有って大人びた言葉遣いをしていた息子を見て、父も子ども扱いは止めて詳しく教えてくれている。
もし日本からの転生者だと広まった場合、教会が俺の存在をどう扱うかが予測が付かないらしい。一応男爵家の三男という立場なので、さらわれたり迫害されることは無いのだが魔法というものの位置づけ、認識が「女神が与えたもので一部の人間を除き、教会が代行者として授けるもの」とされている。
一部の人間というのは貴族の事(人間の中には魔法が扱う事に長じた一族が初期のこの世界で土地を開発して行って権力を得て貴族になった歴史がある)。
平民には魔法を使えるものはほとんど現れない。
これは俺の推測だが「平民に使えないのではなく貴族にしか訓練法が伝わっていない。誰でも使えると知られていない」のだと思ってる。
前世でもほとんどの人が気功を使えなかったのは「気功の存在を知らない」「インチキだと思ってるか関心が無い」「訓練方法を知らない」と言った理由で特別な人しか身に付けられないものでは無かったからだ。誰でも気(この世界では魔素)を持っていて(というか全ての存在に気が含まれている)自覚の有る無しだった。
当然「魔法が有って当たり前」のこちらの世界は魔素が世界に満ちているという概念は当たり前のように認識されている。
父に対して前世の話をしたとき「日本でも魔法のような力(気功の事)があり、こちらに比べて魔素がとっても少ない世界で効果が弱かったけれど、訓練次第で誰でも習得できたし、きっとこの世界の魔法も誰でも習得できるよ」と話したのだが、そこが問題らしい。
この世界の人たちにとってあまりに衝撃的な内容だったので、父から少し不信がられたので仕方なく「女神様に教えられた」と言ったら「もっと問題だ!」と呆れたように言われてしまった…。
「特別扱い(女神からの使者のような扱い)されたいか?」と父に聞かれたので「今まで通り暮らしたいです(教会に利用されるなんてまっぴらだ)」と答えたら、ホッとした様子で「今まで通り息子として扱うぞ」と力強いが優しい目をして言ってくれた。
母は黙って父との会話を聞いてくれていて「カイトは何が有っても私たちの大切な息子よ!」と一言言ってから「朝食の準備してきますね」と父に伝えて部屋から去って行った。俺が顔色が良くなって体を起こせたので安心したみたい。
「カイトの体に負担にならないようなものを作ってきます」と父に伝えていた…。
前世で母に手作りのおかゆとかを食べさせてもらった経験などない俺はその様子にジーンと来ながらも父との会話を続けた…(おかゆというものが存在するのか疑問だけど)。
食事に関してはメイドに全てを任せても良いのだが、母としては「心のこもった食事を食べさせたい」と家族に対して思う人だったので忙しくないときはほぼ毎日メイドと一緒に食事を作っているらしい。田舎なので貴族同士のお茶会などがほぼ無いので暇を持て余しているのも理由の一つかも?
・・・
とりあえず父と話した現時点での今後の方針は、
・転生に関して家族以外には話さない。執事とメイド長は昔から使えていて信頼が出来るのでタイミングを見て父が話す。他のメイドには今のところ話す予定なし。
・魔法は今後どんどん習得して言っていくと思うが、敷地内と領主以外が立ち入り禁止の場所では使用しない。練習もしない。
カイトに魔法の知識と経験が増えて判断が可能になった時点でメジャーな魔法はどこでも使用可。
・教会には極力近づかない。接点が増えればそれだけリスクが増えるので、対策を考え付くまで接触を出来るだけ避ける。
10歳ごろにはどのような魔法が使えるか教会から問い合わせがあるが、カイトの魔法が不安定だった場合、報告を15歳(成人)まで遅らせる。
という感じにした。
今後状況を見て方針を変えて行く。その際には家族で協議する。
・・・
こんな話を父としていたら「トントン」とドアがノックされる。
開け放たれたと同時に「「カイト!」」と元気な声を出しながら二人の兄が入ってきた…。
---------------------------------------------
次回で両親や兄弟の名前や年齢が!!
・・・どうしよう(;^_^A
・以下少しネタバレ
※精霊に関してですが、
後々精霊たちは主人公と関わってきます。上記の設定はあくまでも現時点での話となります。
見えない力を理解して欲しいと思っていたら異世界に転生してしまった…。 唯人 @qzkqzk
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。見えない力を理解して欲しいと思っていたら異世界に転生してしまった…。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます