第3話 死後の世界?

・・・


・・・・・



・・目が覚めると、俺は真っ白な空間に居た。


ボーッと辺りを見渡すと、閉鎖的な空間だとは分かるけれどどこからが壁?なのかさっぱり分からない不思議な空間にいる。


・・・・


しばらくしてやっと頭がスッキリしてこの空間に来る前の事を思い出してきた…。俺、崖から落ちて…おそらくは死んだ。


と、いつの間にか目の前に綺麗な白い服をした女性が佇んでいた…。あまりに綺麗なので見惚れてボーッと漠然と眺めていると脳に直接?といった感じで言葉が伝わって来る。


「気づきましたか?」


「ああ…」「ところで…ここはどこ…ですか?」「そして…あなたは…女神様?」



あまりにも美しくオーラの輝きが眩しい女性が普通の存在に思えなくて、思わず敬語が出てしまう。もっとも言語で会話をしているのではないのだが…。



「ここはあなた方が言う『あの世』の一部です。ただし、異世界の…ですが」


「異世界?!(本当にあるんだ…)」


「そして私は神々のごくごく一部で、簡単に貴方の中にある概念で言えば管理人にあたります。本来は姿形は無いのですが、貴方にとって分かりやすいように女神の姿をしています」


「俺は死んだのですか?」


「その通りです。ただ、本来貴方は死ぬ予定が無かったので貴方の魂をそのままにしておくと大本に還ってしまい、地球上での転生が出来なくなるのです。それを防ぐ為に一時的な処置と貴方の生前の希望を鑑みて魔法が存在するこの世界に魂を移したのです。その上で死にかかっている5歳の男の子の魂と融合して貰います」



このほか膨大な情報が頭(肉体は無いけれど幽体が肉体の形をしている)に入ってきたのでざっくりまとめると…。


本当は自分は登山する予定は無く、当然滑落する予定では無かったそうで。助けようとした子供もしばらくしてやって来たベテランの登山グループが助けてくれてどちらにせよ無事だったとか…。

ただ、あの山には次元の狭間にような場所があり、見えないエネルギーに感度の高い自分が引き寄せられたのではないか??との事。何らかの意図が有るのかも?とも。


とはいえ女神は管理人なのでそれ以上の情報を知ることも出来ないらしい。

「死ぬ予定が無かった」と教えられて少しは動揺みたいな感覚が有ったのだが、割とあっさり死を受け入れている自分が居た。家族も恋人も居なかったしあまり未練も執着も自分には無いらしい…。


異世界は地球人の集合無意識の情報を使って地球とは別次元の宇宙に創造されたらしい…。日本人の中で「異世界転生」などがブームになって一定数の想念の情報がリソースとして蓄積された為にそれを元に実験的に創り出されたそうな…。

いったい誰が?という問いは女神(管理人)には答えられないとの事。



「で、そんな事(異世界の魂と融合する事)が可能なのですか?」


「本来ならば難しいのですが、今回に限っては可能です。その子の名前はカイト=フォーランド。貴方の生前の名前(波動)と極めて親和性も高く、貴方の死んだ直前に彼も原因不明の病気になって衰弱死寸前になっています」


「(オイオイ…)そんな事、偶然とかであり得るんですか?」


「答えられません(権限がありません)」「さて、転生に移ります」


「(スルーかよ)分かりました。その前にいくつか質問があります。自分の記憶は残りますか?地球での経験とかは?」

「あと、女神様側からの要求とか、貰えるギフトとか有るの?」

「小説とかアニメみたいに中世みたいなところ?」


これらの質問に関する女神の返事をまとめると、およそライトノベル的な設定でOKらしい。中世で魔物や魔族も居て(ただし魔族は悪の権化とかでは無く種族の一つ)、エルフ、ドワーフ、獣人や精霊や妖精なども存在するらしい。


自分に関しては、記憶はある程度残るが印象の薄かった事などは思い出せない可能性が高いとの事。カイト=フォーランドの記憶や経験と混ざる為感情面では肉体(5歳児)の影響も受けて不安定になることも有るらしい。


嬉しい事と言えば、イレギュラーな転生のため、ギフトこそ貰えなかったが、自分が経験した気功や武術などの記憶と経験は活用出来るらしい。

異世界では地球での(オルゴン、エーテル、マナ)はと同一の扱いになっていて、気功法や武術を魔法と絡めて活用出来るらしい。しかも濃度は地球の100倍前後(土地によって差がある)。

高濃度だからこそ地球ではほとんど使えない魔法が視覚化できるレベルでほとんどの人間が活用出来るのだろう…。


後、諸々の事柄は転生した先で確認して欲しいとの事。あまりカンニング的になる重要な情報を伝えてしまうと人生の学びにならないかららしい。それでもここまで教えて貰えたのは特例らしい。

かなり間抜けな転生とはいえ一応人助けをしようとして死んだので、その分のご褒美らしい。



「さぁ、そのまま静かに精神を保って下さいね…」



女神の祈りのような響きの声を聞言いているうちに段々意識が薄れていった…。


・・・・・


・・・


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