第7話

今にして思えば。

ユーコに義妹の存在を知られたのが運の尽きだった。ユーコには俺たちの

同居は内緒にしてくれとお願いしたんだが、

だめだったのだ。

この翌日に学校に行ったら、

学年中に言いふらされていた。

ホームルーム前。

俺の席のまわりに男子どもの人だかりが

できた。


「おい、シンジ、聞いたぞ。おまえさ、

橘ヒナタと同居してるんだってな。

かわいそうだなぁ、あんな地味な見た目の女と同居なんて。友達もいない、ぼっちで性格暗いし、一緒にいたら、こっちまで暗くなっちまうよなぁ」


「同情するよ、シンジ。

かわいい女の子と同棲ならよかったのになぁ。よりによって同じ学年、の、あんな冴えない女とはなぁ。俺は嫌だね。

どーせ、同棲するんなら、美少女がいい!!」


友達にはこう言ってからかわれた。

嫌な気分だった。


ユーコに慌ててメールをした。


おいおい、頼むから黙っててくれって

昨日、約束しただろ?なんでみんなに喋った!?


すぐに返信がきた。


ごめーん、つい、口が滑っちゃってぇ!!

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