午後十時 ココア

児童労働を啜る夜

あらゆる不幸から目を逸らし

自分の身だけで精いっぱいの

あらゆる人々に共感しながら

言い訳の甘味に縋る夜


コンビニで売られている

児童労働を買い占める夜

こっちだって辛いのだと

満月に吠えながら

甘みの中に苦みを感じ取る


ココアの農場で働く子らも

働かせる大人も 皆

満月を見つめて泣くだろう

私たちの瞳はあまりに弱くて

太陽を直視できないから


月の光は 甘いか 苦いか

その前に 涙をぬぐって

しっかりと 目を逸らさずに

同じ月を見つめる子らを

思わなければならない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩集 カフェイン・シチュエーション 小林素顔 @sugakobaxxoo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ