午後四時 紅茶

ゆっくりと茶葉が開くことを待つ時間で

読み解くことができる詩情は

その程度だろう

紅茶を飲み干したあと

店を出て 街を見渡し

人々の流れを読解しようとする

そのときに血中を駆け巡るカフェインこそ

詩情に最も忠実な成分だ


紅茶を待つ間は ただ心を空にして

これから 天から降ってくる

啓示を受ける器を入れておく

それはただ自らを満たす茶の味

誰かに所作や知識を褒められることも

期待しない 独立峰に降り注ぐ慈雨


恵みの雨に開いた紅茶を味わったあと

街を見渡せば すべてが 私を啓蒙する

茶葉が開く時間は 目を開く時間である

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