午後一時 エナジードリンク

振り絞る力もないのに

体のなかから削り出した

命を溶かして燃料にする

エナジードリンク

それは家財道具を燃やして暖を取り

少しずつ暮らしが荒れてゆき

そこまでしてでも生きることの

意味を考えずに飲み干すこと


駅前の一等地を占拠していた

ゴミ屋敷の撤去が始まった

きっとこの世界への抵抗だったのだ

体の内部を他人に削られまいと

暮らしを燃やされまいとする

巨大な家財道具の長城だったのだ


その前を 足早に

エナジードリンクを飲み干しながら

過ぎる 振り返らないように


余命を宣告されずに

身辺整理をしていることに

気付かないでいる


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