イレーヌちゃんは、わたし(あやめ)をあいちゃんのところに連れて行く。

【23】

修学旅行で富士山に登った。頂上付近に鳥居が立ってて、そこをイレーヌちゃんとくぐったら、急に濃い白い霧がパーッと、あたり一面に立ち込めてきて、イレーヌちゃんの他に何も見えなくなった。真っ白な霧の中で、イレーヌちゃんと抱き合ってキスした。

しばらくしたら、白い霧もサーッと晴れ渡って、また、もとの景色や、まわりの人たちも見えるようになって、みんなワーワーきゃーきゃー騒ぎながら富士山を降りて行った。

高校の最後の夏休みに、イレーヌちゃんとパリに行った。

パリの空港に着いたら速攻、オルセー美術館に向かって、カバネルさんと、ブーグローさんの2つの『ヴィーナス誕生』の絵のところに走って観に行った。

｢久しぶりに観たけど、やっぱり、この絵、めっちゃ好きだ～！｣ってイレーヌちゃんも、久々の、絵との再会に感激していた。

それから、イレーヌちゃんのパパとママに会いに行った。

空港で、飛行機を待ってたら、イレーヌちゃんに、ほっぺにチュッてされて、

｢わたしも日本大好きだから、もうちょっとしたら日本にぜったい行くからね～！それまで待っててね～！｣

｢うん！わかった！ぜったい来てね！待ってるからねーっ！｣

｢日本の女子高生に、どうしてもなってみたいから、その頃には、ぜったい行くね～！｣

イレーヌちゃんと｢バイバ～イ！｣って手をふって、ボクはパリから愛媛県松山市の小学校に転校するために、日本行きの飛行機に乗った。イレーヌちゃんと、高校生の頃に再会することを期待しながら。【松山】に、つづく...