第13話 眠り姫②

 ベッドに横たわる少女には点滴と心電図が付けられていた。一年程眠っている状態ではあるが……で看病も整っているおかげか……肌は艶やかで、直ぐにでも起き上がりそうな感じがした。顔の輪郭から姉の梨花の言う通り美少女と言うのが伝わって来る。


 竜也は……こんな可愛い子に手を出して良いのか?と一握りの不安を感じた。


 「ねえ……何してるの?」


 竜也は驚いて振り返ると梨花が立っていた。


 「あ……イヤ、あまりに綺麗な子だから…自分が手を出して良いのか?と思って……」

 「イヤなら別に構わないわよ」

 「あ……いえ、やります」


 そう言って竜也は、玲奈の顔に自分の顔を近付けて唇を重ねる。


 (そう言えば……おとぎ話で、こう言うのあったな……)


 唇を重ねて顔あげるが反応は無く、玲奈は眠ったままだった。


 「ダメだったのね……」


 梨花は残念そうに言う。そんな梨花に向かって竜也は口を開いた。


 「何しても構わないよね?」


 「え、ええ……」


 「じゃあ、性的な事になるかもしれないけど大丈夫だよね?」


 「そ……それは、ちょっと…⁉︎」


 「さっきは言わなかったけど……元気になった女の子は、皆……僕と性的な関わりで元気になったんだと思うんだよ。待合室であった子も病が治ったんだよ」


 「分かったわ、ヤッて見せて」


 「あと……ナースが言ってたけど、僕は病院内で誰としても良いと言う特例があるらしいって……」


 「ええ……知っているわ」


 梨花の言葉に竜也は驚いた。


 「知っていたの⁉︎」


 「だから……貴方にお願いしたのよ。本当に治せるかは分からないけど、この際だから妹の体は貴方に捧げるから……ヤって見せて、早くあの子の元気を見たいの……」


 「分かった……」


 そう言うと竜也はベッド周りのカーテン引いてベッドの前に立つ。梨花は竜也の向かい側に立っていた。


 竜也は眠っている玲奈の肌掛け布団を捲り、彼女の片手を持ち自分の股に当てた状態で、口付けを行う。

 

 ピキッと例の頭痛が起きて、彼の記憶が一瞬途切れる。


 深い眠りの様な感覚の後、目を覚ました竜也は美しい少女に抱き着かれていた。


 「あ……ありがとう竜也さん……」


 玲奈は目覚めたばかりでありながら竜也の名前を言い当てる。更に昏睡状態から目覚めたばかりの彼女は両手を竜也の首の後ろに組んでいる。


 「玲奈ー!」


 梨花は嬉しいのか哀しいのか微妙な状態で妹に抱きつく。


 「お姉ちゃん……久しぶり〜」


 玲奈は再び竜也を抱き締める。


 「お姉ちゃん……私の恋人、村石竜也さんよ」


 「うん、知っているわ」


 「ねえ……何で僕の名前を知っているの?」


 「私の夢の中に何度も貴方が現れたのよ。目を覚ました時に……目の前にいるって……」


 「まるでシンデレラ見たいだね」


 「それを言うなら白雪姫でしょ?」


 梨花が横から口を出す。


 「あれ……違ったっけ?」

 「全く違います。作者は同じ人だけど……」


 玲奈は再び竜也を自分の顔に寄せて唇を重ねる。


 「私の素敵な旦那様が、私を深い眠りから覚めさせてくれたわ、私は生涯貴方を愛し続けるわ……」


 それを聞いた竜也は、また一つ重い荷を背負ってしまった……と感じた。


 「と……取り敢えず、あとで検査を行ってね……」


 「私は貴方の子だったら喜んで産む覚悟はあるわ」


 「そ……そう」


 愛想笑いしながら竜也はベッドから降りる。


 見出しなみを整えて病室を出る。


 「ありがとうね」


 梨花が一緒に病室の外に出て礼を言う。


 「ねえ……何処へ行くの?」


 驚いた事に玲奈が病室のベッドから起き上がって出て来た。


 「ちょっと玲奈……貴女、起き上がって平気なの?」


 本来……昏睡状態から覚醒した人は長い時間リハビリをして、普段の生活に戻るのだった……。しかし玲奈はまだ目覚めたばかりなのに、ベッドから起き上がり普通に歩いて病室から出て来た。


 「僕は自分の病室に戻るよ」


 「それなら、私も一緒に行きます」


 「君は、これから検査をしなきゃいけないんだよ」


 「でも……貴方と離れたくは無いの」


 そう言って玲奈は竜也の腕にしがみつく。


 「この際だから、病室まで一緒に行って……私は先生に報告して来るから」


 「分かった…」


 竜也は梨花と別れて、玲奈と一緒に病室に向かう。病室に戻ると…背の高い男性が別の男性と一緒にツマミを食べている時に、竜也が玲奈と一緒に病室に入るのを見つけ


 「あのヤロウ…また別の女を連れて来たぞ」


 「アレで何人目だ?」


 と、彼等は言い合っていた。


 2人は竜也が利用しているベッドに入るとカーテンを引いて、玲奈は竜也を押し倒して再び唇を交わし、互いの舌で舌を舐め合う。


 竜也は女性に押し倒されるのが……これで何回目なのか覚えていない程だった。


 「私には……貴方しかいないの……。私だけを愛してね絶対に……」


 「もし……僕に他の女性がいたら?」


 「貴方に近付く女がいたら……そんな奴は徹底的に追い出してやるわ」


 「そ……そうなの……」


 (これから……どうしよう?)


 竜也は少し迷った。


 〜翌日


 竜也は無事、病院を退院する事になった……。


 退院の前に竜也は……まだ入院中の少女達にそれぞれ挨拶をしに行く。


 琴美は竜也が退院すると知り泣き付いて来た。


 「お兄ちゃん、コトミ退院したら会いに行くからね」


 と、言って来た。


 薫は、穏やかな表情で退院を祝い


 「必ず貴方に会いに行きます」


 と、笑みを浮かべながら言う。


 玲奈は竜也との別れを惜しみながら泣き


 「毎日会いに来て、退院したら一緒に暮らしましょう」


 と、竜也に言う。


 美穂と雫は学校である為、迎えには現れず……直美も夜勤であった為、退院する時は1人で帰宅だった。


 竜也は、しばらく開けていた自分のアパートへと帰宅する。

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