第8話 少女二人①

 その日、竜也は病室のベッドの上で休んでいた。美穂は連日見舞いに来てくれていたが……テスト前と言う事で前日から来なくなっていた。


 入院中の女性は、竜也がいる病室に無断で出入り出来ない為……1人で静かに時間を過ごしていた。


 特にする事も無く、何気無く外の景色を眺めていた。


 すると病室のドアが開く音が聞こえ、駆け足で病室に入り竜也のベッドにドスンと何かが飛び乗る物があった。


 「ヤッホー」


 明るく健気な雰囲気を見せる、小柄でセミロングの髪をした少女の姿を見て竜也は「雫!」と、思わず叫んだ。


 「しばらく振りだね〜」


 愛らしい衣服を着込んだ姿の少女を見て竜也は嬉しそうになった。ふと……周囲の目を意識して……


 「しばらく振りだし、外で話しようか?」


 「ん……?別に良いよ」


 そう言って2人は病室を出る。


 「しばらく会えなかったね……」


 「うん、チョットねパパやママに注意されちゃってね」


 実は、それには美穂が絡んでいる……と、言いたかったが今は黙っている事にした。


 「そうか……やっと、お見舞いの許しが出たんだね」


 「ん〜……ちょっと違うかな?」


 「え……?」


 2人はエレベーターに乗って、屋上に行く事にした。


 「どう言う事?」


 「なかなか、竜也さんヘのお見舞いの許しが貰えず、ずっと貴方とイチャイチャしたくて……私、我慢しきれなくて毎日居間でオ○ニーしてたらね、そしたらママがね、そんなにオ○ニーするなら貴方にイチャイチャしてもらいなさいって……言ってくれたの」


 その話に竜也は少し頭の中で話しの内容を整理した。


 「ええ……と、その、つまり……雫は親の居る前で平然とオ○ニーしてたの?」


 「そうよ。ムラムラしちゃう時は友達がいる前でも平気でしちゃうわ。そう言えば最近学校のトイレに張り紙で『自慰禁止』なんて張り紙が最近貼られたのよ、酷くない?」


 「いや……それが普通だと思うよ。健全な育成を目指すなら当然だと思うよ」


 「人が何を楽しみに学校行っているのか、もう少し考えて欲しいわ!」


 「勉強する為だろう?」


 (それ以上に親のいる前で平然とオ○ニーするとは……て、言うか……親が子供にイチャイチャしてもらいなさいって普通言うか?)


 「皆は、そうだけど……私は、学校の休み時間に、誰も使っていないトイレに入って……エヘヘ」


 それを見た竜也は、ゾクっとした。


 いろんな意味で薫の気品さを少し雫に分けて欲しいと……竜也は思った。


 「でも……やっぱり私は、長くて太くて硬いモノが欲しいわね」


 雫は竜也を見て、ペロリと舌をで唇を舐める、その仕草に竜也は身震いした。


 屋上に着き、2人が屋上の外に出ると目の前のベンチに座ってる少女の姿があった。


 少女は竜也の姿に気付くと両手を広げて嬉しそうに走って来た。


 「お兄ちゃんー!」


 少女は少し前に会った宮本琴美だった。


 「琴美ちゃんだったよね?」


 「そう……覚えているてくれた?お兄ちゃんに会えなくて、コトミずっと寂しかったの……」


 少女は竜也の胸元で顔を擦り寄せる。


 「コラ!」


 雫が思いっきり琴美を突き離す。


 「何……人の恋人に手を出しているのよ」


 「アンタ……ダレ?」


 「私は竜也の恋人よ、貴女こそ何なのよ」


 「私も彼の恋人よ、人の恋路を邪魔しないで欲しいわ」


 雫と琴美は睨み合う。


 「ちょっとケンカは辞めようね」


 竜也の言葉に2人はフンッと引き下がる。


 「ねえ……お兄ちゃん、コトミはお兄ちゃんにいっぱい、イチャイチャしてもらいたいの……」

 「アナタの相手は、その辺に歩いている男性で十分よ」


 雫が横から口出しする。


 「イヤよ、私は……お兄ちゃんにしか私の大事なモノ捧げたくないもん。アンタこそ、その辺のガキンチョに相手してもらったら?メスチビ」


 「ハァ?言ってくれるわねメスガキの分際で、アナタは他の男性に媚び売っていれば良いのよ、竜也さんの相手は私だけで充分間に合っているのだから」


 「あら……失礼しちゃうわね、こう見えて自慢じゃ無いけど私……皆から気品のある、綺麗なお嬢様って言われているのよ、アンタ見たいな下品なメスとは雲泥の差よ」


 「私だって、慎ましく淑やかな女の子って皆から言われているわよ」


 雫の発言に竜也は(慎ましく淑やかだなんて絶対嘘だ!)と、ツッコミを入れたかった。


 とても子供の女の子が発言するとは思えない様な内容の言葉を2人は繰り返す。


 (この2人の生活環境て、一体どうなっているのだ?)


 「竜也さんには、私見たいな初々しい女の子が一番お似合いなのよ」


 雫の言葉に竜也が思わず「え……初々しい?」と、聞き返してしまった。


 「何か言った?」


 雫がチラリと竜也を見る


 「はい、そうですね」


 竜也は愛想笑いしながら答える。


 「ねえ……私達が歪み会っても結果は決まらないから……お兄ちゃんに決めて貰わない?どっちが1番好みか?」


 「そうねえ、良いかも……まあ、結果は聞くまででは無いけど……」


 そう言って小さな少女達は竜也を見て


 「ねえ、どっちが好みかしら?」


 2人は声を揃えて竜也を見て言う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る