第20話 紅葉の初夜
目の前にいる男性は先程話した楼主とそっくりな姿をしていたから。
ただし、眼の色は褐色ではなく、薄い紫色の瞳だった。とても不思議な輝きだ。どことなく夜空に浮かぶ月のように輝く。
そうして紅葉のお酌で酒を傾ける零無。
そして彼女の姿をじっくりと堪能する。
そして、今夜の相手、そして明後日の朝までの付き合いとなる彼女に彼はまず挨拶を交わした。
「やあ、初めまして。
「
「もしかして驚いているかな…? 私の姿に?」
「少しありんした。でも主様によう似ている方とおっせぇしたので…」
「そうか。君、何歳になったのかな?」
「この春で15歳になりんした」
「15歳か。今夜は君にとって忘れられない夜にしたいね」
「ほんざんすか? よろしくしておくんなんし」
「一つ、思ったんだけと、
「え…!?」
「思っているより訛りはひどくなさそうだし、普通の言葉の方が私も安心できるんだ」
「よろしいのでしょうか?」
「そうそう。その言葉遣いでいいよ」
「ありがとうございます。主様に似ている方と聞いて私、少し胸がドキドキしてまして……」
「私も久しぶりなんだ。しかも吉原の女性を抱くのは初めてでね」
「だから俗世の床技をするかも知れないけど、それをしそうになったら君の判断で動いてね」
「初めてなのに難しいかな? こんな事を頼むのも」
「いいえ。姉花魁から勉強しましたので、気にしないでください」
「じゃあ、そろそろ準備しようか?」
「健太さん。零無さんを
すると健太が現れ、俺を厠、ようはトイレに案内する。その間に紅葉は化粧直し。俺も服装を浴衣姿にする。
「いよいよですな。
「旦那様からの指示は?」
「今の所は零無の旦那に任せると仰ってます」
「わかった」
「それから紅葉との床入りが終わったら、恐らく「手水にいく」と言うので引き止めないで行かせてあげてください」
「手水にいく、か。わかった」
今まで纏っていた着物を脱いで浴衣姿になる。
奥座敷には布団が敷いてあった。
いざ、時が来ると俺も久しぶり過ぎて少し緊張している。とりあえず息を吸って、落ち着く為に息を吐いた。
紅葉も襦袢になっている。
俺も向かい合いながら布団の上に腰を下ろした。
さて……。いきなり胸を触るのは驚いてしまうかもな。
紅葉も少し不安そうな表情だ。
俺は彼女をとりあえず胸に抱いた。そっと抱きしめる。
「零無さん」
「まずは俺の体温を感じてくれ。浴衣を外したいなら外して構わないから」
耳元で甘く囁いた。
そのまま首筋に唇を這わす。
紅葉の手は浴衣を脱がそうと動いている。
上半身が開けた。俺は気にする事もなく紅葉の体に舌や唇を這わす。鎖骨、二の腕、脇、舌を這わすたびに俺の感覚が甦る。
生前の記憶でもこうして過ごした夜があったような確かな記憶が、体を通して甦る。
そのまま枕に紅葉の頭を寝かせて、俺は覆いかぶさる。そして内側に封じていた情熱を少しずつ表に出す。
夜の薄暗い灯りに照らされた紅葉の白い肌と薄紅色の乳首がかすかに興奮を覚えている。
「零無さんの唇……気持ちいい……」
「胸を舌で弄ってもいいかな……」
「はい……たっぷり味わって……」
「しつこいって感じたら言ってね……。久しぶり過ぎて自制が利かないかも知れない……!」
舌先でころころ弄る。紅葉があどけない喘ぎ声を上げた。紅葉の手が俺の銀髪に触れようか迷っている。
「触れていいんだよ。初めての男を君の感覚で味わいなさい。全身を使って、遠慮なく触って。俺に唇を使って触れたりしてご覧なさい」
紅葉の手が俺の銀髪を乱した。
俺は薄紅色の乳首を口に含み引っ張る。優しく、少しずつ強くを繰り返す。
手のひらに感じる紅葉の乳房を優しく揉み解す。彼女が身に感じる初めての感覚に苦悶する。襦袢が外れかけてそれが堪らない色気に感じる。
紅葉の手のひらは俺の胸板を触っている。
「こんなに滑らかなんですか……? 男の人の肌は……?」
「どうだろう……? まだまだ舌を這わすよ。お腹の方に行くからね」
今度は音を立てて唇で愛撫する。だんだんと下半身へ顔が下りていく。そして紅葉のまだ男を受け入れた事のない場所をじっくりと観た。
ああ……濡れている。美味しそうな蜜が滴って……舐めて味わいたい欲求に駆られる。
紅葉はじっくり観られる感想を言葉にする。
「こんな感じなんですか……? 零無さんの視線を感じる……ヒアッ……ヒアッ……零無さん…!」
「すまない…! これは禁じ手だけど我慢できないんだ……」
「どうしよう……気持ちいいの感じちゃう……」
思わず禁じ手をしてしまった。
吉原の遊女の商売道具に舌で舐めてしまう。
いい匂いだ……俺の男としての感覚がだんだん甦るよ。
あまりすると本当にやめてと言われるから、こちらが奮起できれば十分だ。
そのまま太股の内側に唇を行かせて舐める。
だんだん布団から遠ざかるように愛撫したから、紅葉の脚にいく頃には丁度良い位置に俺がいた。
唇を離す。そして紅葉に聞いた。
「どうだい? 男性の舌の感覚は?」
「零無さんの舌……とても器用なんですね」
「じゃあ、君の舌を味わう番だね……」
「練習はしたかな……? 男のモノを咥える練習は?」
「直に花魁がしているのは観ましたけど」
「思い出しながらやってみなさい」
彼女は俺の
十分過ぎる程、奮起してしまった俺を観て、そっと唇で触れた。
膝をついて美しい顔を近づけそっと舐める。
繊細な手はゆっくりと擦る。
じっくりと堪能させてあげようと恐る恐る、手を伸ばしてゆっくりと擦った。
「アウッ……」
思わず喘ぐ俺だった。
こ、これは……極楽過ぎる。
頭の中が得も言われぬ快感で支配されてしまう。本当にこの子、初めてなのだろうか?
紅葉は細かく舌や手を使い俺を快感に浸す。
彼女は絶頂に逝くのを観察しているのだ。
俺はとうとう懇願した。
「紅葉。そろそろ本番にいこうか……入れる前に俺が果てちゃうよ……うあっ……」
「来て下さい。零無さん。来て! お願い…!」
「最初だからね……ゆっくり入れるよ……」
「アウッ…!」
紅葉と俺が仮にも結ばれた瞬間だった。
彼女がしがみつくように腕を絡める。
俺も体を密着させる。
紅葉の花びらを最初に味わった男になったんだ。少しずつ腰を揺らす。
「アン……アンッ……アンッ……零無さん! 零無さん……!」
「気持ちいい……気持ちいいよ……君の最初の男性になれたのは嬉しい……!」
紅葉も綺麗に喘ぐ。
襦袢が全部外れかけている。
今度はそのまま胸を舐めた。
対面座位になりながら、腰を回し、俺は体だけになる。
紅葉は俺の頭を固定して抱きしめる。
腰を回す速さを変えた。
快感が倍増してくる。
一体、俺はどういう顔でこの極楽に身を浸したのか。
この快感の嵐に身を浸し、そしていつの間にかそのまま絶頂に昇った俺が確かにいた……。
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