その10.美容院♪
美容院選びの話と、ファッションの話です
2020年8月1日
こんにちは。さくらです。
性同一性障害(性別違和/性別不合)の悩みの一つ、髪型。
外見を左右する重要なファクターだと感じています。
シスジェンダーの方も同様かもしれませんが、性自認と性表現が身体の性別と一致していない場合、これってすごく「手が届きそうでなかなか手が届かない」ことの一つだと思います。
私はMtで、性表現は女性に限りなく近いので、女性の髪型が自分の中では理想です。
とはいえ、容易に実現は…なかなかできません。
これは、たとえば社会人であれば勤務先の規定であったり、学生・生徒であれば所属する学校の規定(大学生であれば、髪型の規制なんてないと思うのですが、高校までの場合は、身体の性別にある程度以上縛られているケースがほとんどではないでしょうか)だったりします。
私の今の勤務校のように、ある程度服装や髪型に自由度を許容してくれる風土があれば実行しやすいですが、そうでない場合がほとんどのようにも思います。
特に身体が男性で生まれて性表現が女性に近い、という場合、実体験としてハードルは高いと感じます。
そもそも、男の身でありながら、反対の性別の髪型にしてほしいとスタイリストさんにお願いすること自体がかなり心理的な障害が高い。
そして、それが勤務先や通学先などで受け入れられるかどうか、また家庭内で受け入れられるかどうか、近所の目が気にならないかどうか、など、いろいろなハードルがあります。
また、身体が男性の場合、どうしても「ひげ」が問題になります。大なり小なり、ほとんどの人が剃り終わった後の「青ひげ」と、勇気を出して切ってもらった女性の髪型とのアンバランスさに、毎日鏡を見るたびに苦しむことになります。
多少はひげを隠すための、濃いめのコンシーラーがあるようです(私はその前にヒゲ脱毛を始めてしまったので使いませんでしたが)ので、それを併用しながら、男性の外見から中性寄り、女性寄りへと近づくことができると思います。
なので、髪型とひげのケア(コンシーラーなどを使うか医療用レーザー脱毛をするか)は、セットで考えていく問題だと思っています。
とはいえ、先に解決しやすいのは髪型の方なので、男性が中性的、女性的な髪型にしたいときのコツ…といえるほどのことではないかもしれませんが、それをまとめてみたいと思います。
1.美容院探し
女性の髪型にしたい場合は、やっぱり理容店より、美容院を選んだほうがいい気がします。理容店は、あくまでも性表現が男性の人たちの為のお店、ですよね。ひげを蒸らしてナイフで剃ってくれたり、いろいろ細やかにサービスしてくれますが…。
で、美容院ですが、どこでもいいと思います。自宅の近くがいいか、勤務先の近くがいいか(帰りに寄れるから便利)は、自分の生活スタイルや、近所の目がどれくらいキツイのかとも関係する気がしますので、自分にあった場所を選びましょう。
私は職場がある駅の周辺の美容院です。「ホットペッパービューティー」というアプリを入れて、希望の性別が選択できるので、そうするとそれに合ったお店が駅で検索できたり、色々できます。価格もお店によりけりなのですが、口コミなんかも参考にしてみてください。
2.初回が大切!スタイリストさんにどう頼むか
さて、これが一番緊張するところ。どうやって頼むか。
私は、予めスタイリストさんへの要望を記入しておきました。「男ですが、女性の(もしくは中性的な)髪型にしたいです」と書き込みをして予約しました。
私にとってはよかったことですが、女性のスタイリストさんがついてくれました。予め書き込んだ内容は伝わっているので、勇気を出して自分の口で、改めてどんな髪型にしたいのかを説明しました。
でも笑われたり変な反応をされたり、というのはまったくありませんでした。まぁプロですから当然ですよね…。
そこで凄いな、と思ったのは、おいてくれる雑誌について、です。
美容院を始め、雑誌を置いてくれる場所って、自然と身体の性別にあった雑誌が置かれますよね、何も言わない限りは。私もいろんなお店にいきましたが、決まって男性用の雑誌を置かれました。
で、女性の髪型にしたいんですが、と言った瞬間、置いてあった雑誌のことに気がついたみたいで、何も言わずにバッと片付けられて、女性用のヘアカタログを何種類か置いてくれました。それを開いてくれて、どんな長さがいいですか、とか、どれくらいまで伸ばしたいですか、とか細かく要望(こっちの理想)を丁寧に聞いてくれてたので、そこからすごく話しやすくなりました。
そこから派生して、女性誌についての話にもなり、「じゃあ雑誌も女性用のほうがいいですか?」って聞いてくれて、そこから女性用のファッション誌を置いてくれるようになりました。
私はMOREを愛読してます(佐藤栞里ちゃんの大ファンなんです)が、今はコロナの影響下で雑誌を出してくれなくなっていますが、それまでは、担当のスタイリストさんがいつもMOREを出してくれるようになりました。
こういう対応をしてくれると、すごく安心しますよね。最初のこの対応が決め手となって、それ以降、ずっと同じ方を指名し続けています。
3.理解してくれたら、同じスタイリストさんを指名しよう
上でも書きましたが、スタイリストさんはできれば同じ人がいいです。何度か通うと、自分のことも覚えてくれますし、髪の手入れのこと以外にも、アクセサリーやレディースファッション(靴や服)の情報交換もできるし、すごく楽しいです。
何よりも、髪型の変化に気づいてくれるので、毎回、初回に説明しなくちゃいけないことを繰り返す、みたいな無駄が省けますし。これが一番嬉しいポイントでしょうか。伸ばしたいなら、伸ばすときの注意点、縮毛矯正するなら、できるだけ伸ばしてからのほうがいいとか、縮毛矯正のあとはゴムで縛っちゃだめとか、知らないことを色々教えてくれるからホントに助かります。
私の場合は、性同一性障害であることを説明済みで、職場で異性装してることもすでに説明済みです。
だからこそ、いろんなことを話せるし、悩みも愚痴れるし、色んな情報ももらえるし。
だから、同じスタイリストさんを指名しています。安心感もありますから。何より信頼できるようになりましたし。
4.スタイリストさんは男性がいい?女性がいい?
これはどっちでもいいのかな。個人の好みによる、と思いますし、知りたい情報が女性寄りなのか、どちらでもいいのか(中性に近いのか)、男性寄りなのか、にもよる気がします。
髪型やアスタイル、ヘアケアに関することだけなら、性別は関係ないと思います。
でも、私の場合は、女性としての色んな情報も仕入れたいし、話をしたいので、女性のスタイリストさんのほうが安心感があります。女性のことは女性に聞いたほうがいいかな、って。
たとえばヒールが買いたいんです、って話になった時があって、「あー、死にますよねー(つま先が)」って反応をいただいて、すごく盛り上がったり。女性が普段、どうやってヒールを履いているのか(履き替えているのか)その方法を教えてくれたり。イヤリングやピアスの話も同じでしょうかね。
たぶん、こういう話になると、私個人は……男性のスタイリストさんにはしづらい、です。
共感してくれない、というのも予感しますし、聞いても知らないでしょうしね。
5.結論。美容院は髪型だけにあらず。
スタイリストさんとの会話が苦手!っていう人も多いと思います。私も得意な方じゃないんですが、お互いに慣れてくると、いろいろと聞きやすくなりますし、世間話から色々と話が弾みやすくなります。
髪型を希望通りにしてもらうためだけじゃなくて、それ以外の情報も交換できて、コミュニケーションが取れる。それが美容院の醍醐味、なのかなーって、ここにこう書いていて思い始めました。
いろいろと悩んでる方も多いはずです。髪型の制約が厳しくてなかなか思い通りにできない、という人も。
でも、その中で、最大限ここまでなら譲歩してもらえるギリギリのライン、っていうのを探ることができたら、ショートボブだったりボブだったり、ロングだったり、いろいろ楽しめます。
私の持論ですが、髪型もファッションの一部分なんじゃないかな、って思います。服、ボトムス、靴、靴下やストッキング、アクセサリー(ネックレス、イヤリング)に加えて、髪型があるんじゃないかなって。
だから、組み合わせがいろいろできて楽しい!
髪型も、以前はロングに拘ってました。かなり強固に。
でも、いまはショートボブ(耳に少しかかる長さのボブです)にしています。そのほうが、イヤリングが映えるんですよ。可愛い。今はそれにハマっています。
シス女性だってシス男性だって、いろいろファッションを楽しんでます。
私達、性表現が身体とズレている人たちも、ファッションを楽しんでいいんですよね。当たり前の権利かもしれませんが、なかなか周りからの目、言葉、反応を気にすると思ったとおりにできないことが多い。
それは……すごく悲しいな、って。ファッションって楽しんでいいんだから、髪型だって服だって靴だって、身体の性別に関係なく楽しんでいいじゃないかなって。
もちろん、会社の中での服装、髪型とか、思い通りにならないことも多いです。最初は私も手探りで様子を見ながら、管理職とのバトルも経て(苦笑)、異性装する権利をもぎ取りました。この方法だけが正しいとか、唯一だとか、ではないと思います。みなさん自身の、最適な方法がきっとあるんじゃないかな。そう信じています。
では、今回は美容院選びと……ファッションの話でした。またよろしくおねがいします♪
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