第54話 魔法袋

「い、イチさんが……?」



6024は医務室で知らせを魔王と共に聞いた



「迂闊だった、イチに手を出されるとは」

「今から街へ行ってきます」

「俺も」

「貴方はここにいてください、邪魔です」



凹んだ魔王様とヴァイドと共に王妃は医務室で待機することになった。



「……それでヴァイドさん、僕の『呪い』って」

「心配するな、発見が早かったから死にはしない、とはいえ完全に治すのも厳しいが」

「俺が役立たずすぎて辛い」

「ごめんね?」


6024からキスをすると、魔王の方も6024を抱き寄せた



「こんな時に医務室で盛るなよ」

「……いいじゃないですか」


傍で手術後で寝ていたゼルディンが起き上がったので、3人で硬直した。



「動いちゃ駄目だよ!?」

「ヴァイドさん」

「なんだ?」

「呪いって『毒の一種』なんですね?」

「魔法が使えない状態を指すから毒とはいいがたいな……『毒もある』が正解か」

「なら完全な解毒方法も必ずある筈です」

「そうは言っても長年研究したが進行を抑えきる薬ぐらいしか開発出来なかった」

「ふむ?」

「妻も……呪いで死んでいるからな」


ヴァイドが結婚して妻がいて5年まえに死んでいるということは6024も魔王も知っていたが原因は知らなかった

二人とも優しさゆえにこれ以上聞くのは……と躊躇うが


「死体の状況は?」

「ゼルディンおまえぐいぐい来るな」

「えっと、ヴァイドさんも辛いだろうし」

「兄さま……無理言って生かして貰っている立場もあるのですから、その辺で」

「それよ、りっ!?」


胸を抑えて苦しそうにしている、医者からすれば手術後で当たり前である



「話してやるから起きるな」

「……」

「死体の状況だったな?全身が斑に黒くなっていた」

「ふむ?解剖しました?」

「出来ねぇよ」

「『薬』で直そうとしていて、外科手術で直そうとした訳ではない?」

「そもそも臓器事体がおかしくなっちまう病気だからな」

「臓器の機能は」

「あ?そんなの魔力の精製に決まってるだろ?呪いってのは魔法袋から全体へ送られる筈の魔力が詰まる病気なんだから」

「……やってみない事には分かりませんが、治せるかと」

「はぁ!?」

「今、『詰まる』といっていたので外科手術で取り除けばいいのは?」

「傷つけた瞬間魔力流れ出過ぎて塞いだとしても全身の魔力が足りなく――――」



「その間に魔力を分ければいいだけでは?」



皆、考えて来なかった事である

魔力を体外にだして魔法を使える者事体が少ないのもあって

そもそも人に魔力を渡す必要性が今まで無かったのだ。



「えっ」

「魔力を相手に渡す為のシール(札)があるんですから、魔力が多い者が注いでいれば死なないですよね」

「か、考えた事も無かった……分ける、そうか、輸血について旧世界の連中に聞かされた時も驚いたが」

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