第53話 日陰の仕事

ドゥヌゲルは大慌てで城に走ってきた

当然、門番がいて





「大変だ!魔王様に会わせてくれ!!」

「そうは言ってもな……何があったんだ?」

「話してる時間はねぇ、入るぞ」

「あっコラ!!」



中に入ると、足を転ばされた


「うわっ!?」

「不審者をいれる訳にはいかんのだ!」

「チッ、そんな事いってる場合じゃねぇんだよ!!イチの奴が連れさられて」

「……魔王の補佐がそんな簡単に?馬鹿を言うな」

「それもロボットに!!!」

「なんだそれは?」


城の入り口の兵をこっちの世界の住民で固めるなよ!!!と言うのを堪えた。


「俺の名前はドゥヌゲル、魔王が駄目ならせめて兵士長だしてくれ」

「はー……仕方ない、そこで待ってろ」



仕方なく待っていると



「こいつしかいなかったわ」

「うお!?ドゥヌゲル!?」


何で6155じゃなくてヘリウズが……そもそもコイツ国に帰って来てたのかと



「とにかく伝えなきゃいけない事は『イチ』が連れ去れた、それも『ロボット』に」

「連れ去られたぁ!?それもロボットに!?」

「ああ間違いねぇよ」

「……でもな」


信用が無いのは当然だが、今は一刻を争う



「俺じゃ信用ねぇってんなら、街に行ってみろよ!アイツに庇われたガキとか……あと切り付けられた女とかいたぞ!?」

「うーん、あいつが負けた……ね」

「チッ、魔法も使えない奴は相変わらず頭がかてぇな」

「あ?テメェだって呪われてるくせに」

「……」


昔は魔法で稼いでいた、だが呪いで今はほとんど使えない


「ってか何でイチとお前が一緒にいたんだよ?」

「酒場で偶然出会ったんだよ、お前らと出会う前から知り合いだったからな」

「ものすごく馬鹿にしてただろ」

「仕返しと言わんばかりに煽ってきたけどな!?」

「そんな事イチがするか?」


この野郎


「……はぁ、もう知らね」


帰ろうとしたら



「これ何の騒ぎです?」


「6155!?いるじゃねーか!」

「飲み屋ではいいですけど、ここでは兵士長なので……立場がありまして」

「いいかこれだけ言うぞ、ロボットにイチが連れ去られた」

「成程」

「そいつのいう事信じるのか?」

「詳しくは中で聞きますので、とりあえず檻に来てください」

「は?」





檻に入れられた


「なんで知らせたのに、檻になんか入れられ無きゃいけねぇんだよ」


呪いの中で俊足の魔法を無理やり使ったから足がいてぇ

立ってるのが辛くなって地面に座った


「すみません、こちらも色々大変な事体になってまして」

「イチが誘拐されるよりかぁ?まぁいいけどよ」

「あと、どうして座ってるのか聞いても?」

「呪いがまだ解けてないなかで移動魔法無理やり使って来たっての!足いってぇから椅子くれ椅子……はー、なんでアイツの為にこんなめに遭わなきゃなんねぇんだ」


もうヤケクソでいいや、むかつくしどうせ文字通り日の当たる生活はしちゃいねぇ




「ロボットと言っていましたね」

「ああ」

「どのような特徴で魔物ではなくロボットだと分かったのですか?」

「足が車輪だった、あと歩く音が静か、暗殺にはちょうどいいだろうな……俺ならあのロボットを使ってイチを攻撃するつもりなら、待ち伏せしてグサっとするがな」

「ふむ」

「テメェ」


目がかすんできやがった、はーもう世の中クソだ


「ロボットはどこへ向かいました?」

「……」

「ドゥヌゲルさん?」

「はーくっそ、南の方だよ」


頭も痛くなってきたし、こんな事態になるなら旧世界の方が良かった

それなりに楽しかったからもう未練はねぇかなぁ

何かあったっけ?


「不味いですね、魔法を無理やり使ったせいで呪いが悪化してます」

「そんな事あるのか」

「色々話したいですし聞きたいですが、今はイチさんの捜索願いを出します」

「くたばってねーといいがな」

「それと、ヘリウズさんはここで彼を見張っていてください」

「いいけどよ……もう聞くことなくね?」

「知識がほんとうに乏しい」

「なんだとこら!」

「呪いが悪化しすぎると自殺してしまうんですよ」

「え」

「……特に彼みたいな人間はやりかねない」

「こいつ悪者だろ」

「私の飲み仲間でして、それに……」



ああ、なんか6155と酒飲んだ時に変な事いっちまったな

何だっけか?ああ思い出した



「それに?」

「ずっとスカウトしてたんですよ、兵士に」

「なんでだよ!?」

「戦闘を選択した魔族は珍しいですから」

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