4話 低級モンスター好みな豆腐餃子

「現れたなモンスター」

今日も見知らぬ勇者がやってきた。

僕は彼らが最初に対峙する低級モンスター。

人を襲うと言う設定をつけられていても出来ることは少ない。

せいぜい足止めぐらいだ。

今日は後、何人の勇者に倒されたら上がれるのだろう。

「プシュプシュッ!」

僕の言葉は勇者達には理解できない。


ああ、お腹すいたな。


「キュインッ」

規則正しく、上下に動けば、何段階かに分かれて勇者の攻撃が続く。


最後の攻撃が入る頃には僕はクタクタ。

既に達人の領域に踏み込んでいる苦痛な表情、残酷になりすぎない柔らかい効果音と共に画面から消失していく。


勇者たちは次の戦いに意識が向いているけれど、僕はいつも彼らに心の中で声をかけるんだ。


この先、強敵モンスターが待ってるよ。

頑張ってねって…。


おっとこんな事している間にも次々勇者たちはやってくる。


僕の意識が100回ぶっ飛んだところで休憩に入れた。


今回も沢山倒されたな。


しかし、これからも大変だ。

なんせ僕の体は小さいのだ。

動くのも一苦労。

やっとたどり着いた待機ルームに入れば、

ザ•和室空間が広がっていた。

多分、モブ宇宙人さんの仕業だな。


でも、この部屋は僕の趣味じゃないんだよね。やっぱり森が落ち着くよね。

鳥やら草木の揺れる音に耳を澄ます。

そろそろ、焼ける頃だろう。


ジュウジュウ――


皮が弾ける音が届いて、鍋の蓋をあければ、餃子の香ばしい匂いが鼻の奥へと染み渡っていく。ニンニクが食欲を誘う。

具材は肉じゃないよ。

僕はベジタリアンだからね。低級モンスター好みの豆腐餃子が今日のメシだ。

豆腐だからって侮ってはいけない。

お肉にもひけをとらない弾力は噛み応え抜群。ネギとの相性もいいんだよ。タレは醤油ベースが定番だけど、味噌タレも捨てがたい。パリパリ触感の皮も味わい尽くせば、もう天国。

僕のお口は結構大きいから、サイズも特大サイズ。ヘルシーだから体にもいい。

お箸は器用に使って、一つ、二つ。

今日は何個食べられるかな。

実に楽しみだ。

だから、しばらくはチュートリアルをやる人が現れませんように…。

そう願いつつ、再び豆腐餃子に手を付ける僕であった。



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