第4話 約束

「ゔー気持ち悪っ」


完全なる二日酔いだ。

飲みやすいワインだったからどんどん飲み進んで、案の定具合が悪くなった。

食欲もなく頭痛がおさまらない。

薬箱を探すけど、頭痛薬が見当たらない。


「これは薬で治さないとダメだ。痛くて我慢できない。」


頭を抱えながら、顔を洗い外出着に着替え薬局に向かった。





余りの痛さにタクシーに乗ってしまった。

車は2分ほど走り、目的の薬局前に到着した。


昼近くだったので、店はすでに開いていて客もちらほらいた。


頭痛薬、水を買う。さっきよりもさらに痛みが強まり何かで殴られてるようだ。少しでも早く薬が飲みたかった。


店を出て、入口付近で薬を飲む。

(早く効いてほしい…)

祈るような気持ちだった。


目線の先に早足で近付いてくる人がいる。

(なんか怖い。体でかいし。)


あと数メートルほどという所まで近づいてきてようやく分かった。あいつだ、あの男。




「あなた、ストーカーですか?何でいつも私の目の前に現れるの?」

「はぁ?何で俺がストーカーになる?」

「だっておかしいですよ。偶然にしては都合良すぎるし!」

「ここは俺の散歩コース!休みの日は必ずここを通ってるの。全く、失礼ですね。」


よく見たらスポーティーな格好をしている。

今回は私の勘違いだったか。


「とにかく、私の目の前に現れないでくださいね!」

「何でそんなに偉そうに命令してるの?まだあの千枚漬け根に持ってる?」

「…そりゃあ、あなたがあんなに買うから私が買えなかったんだもん。根に持ちますよ!」

「どうしても3個買わないといけなかったんだよ。悪かったな。」


(あ、初めて謝った。)


「いや、もう別に良いですよ。でも何でそんなに?一人で食べるんじゃないですよね?」

「ちょっとな。ま、そんなに食べたかったら今度あなたの会社に行ったとき持っていきますよ。」

「え?まだ残ってるの?」

「いや、残ってるっていうか、俺が作ったやつ。」

「手作り?へー、すごい。持ってきてほしいです。味見してみます。」

「味は保証する。みんなから好評だから。」

「じゃあ期待して待ってます。私、味には厳しいですからね。」

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