第5話 タッパー

次の日。

会社に荷物が無く、あの人は来なかった。

その次の日も。


(何だかすごく待ち遠しいのは気のせいかな。いや、あの人が自信たっぷりに美味しいって言うから早く食べたいだけ。きっとそうだ。)




薬局前でばったり会ってから3日目、荷物を持ったあの人が来た。


「こんにちは。荷物です。」

「はーい。」


紗耶は真っ先に駆け寄る。


「お久しぶりです。」

「どうも。」

今日も帽子を深く被っている。


「はい、これ約束の千枚漬けです。」

手のひらサイズの透明なタッパーを紗耶に渡す。

「ありがとうございます。楽しみに待ってました!」

「美味しすぎてビックリしますよ、きっと。」

「随分、自信ありますね。早速帰ったら食べてみます。ありがとうございます。」


ペコリと一礼し、男性は会社から出ていく。


(あ、名前聞いてないな。今度聞けばいっか。)

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