KAC20224 “お笑い/コメディ”

「折角だから、俺はこの赤の扉を選ぶぜ!」




 ――デ〇クリムゾン――




このゲームのタイトルを見たとき、22才の誕生日を迎えた……


 俺は、少なからず“違和感”を覚えずには、いられなかった……


もちろん、1人多役で吹き込まれたシュールなボイスとテロップに――ではない


もちろん、その扉の色が“ ブラウン(茶)”だから――なんて事でもない



「上から来るぞぉ! 気をつけろぉ!」



 そうだ、この言葉を誰かに言われた気がする……



 ―信頼―する誰かに……?



 ―大切な―仲間に……?



一瞬の立ち眩みの後、とても大事な事を思い出した



 ―― あぁ、そうだ。――



「……さて、○○さん。魔王を倒して死んだあなたは……。

 通常の死後の選択肢とは、別の物を用意するようにと言伝ことづてうけたまわっております」



 そう。神さまが、提示して下さったのは、3つだった――



ひとつ目は、天国でのんびり暮らすか

ふたつ目は、再びこの世界で赤子として生まれ変わるか

みっつ目は、科学の発展した平和な世界で安閑あんかんと暮らすか



 そっかぁ。『安閑あんかん』とは、こういう意味だったのか……


 コントローラーに、じんわりと汗がつく


「どうしよう……。22年間、まったく努力してこなかった……」


選択肢A「人生とはクソゲーである」

   B「人生とは無理ゲーである」


 ◇


「おーい、ナベさん! どっちの選択肢の方が正解だと思ぅ?」

「……猫田さん。ここは、慎重に選びましょう

 今後の展開に、大きく影響してくるに違いない」


「だよなぁ。はじめの選択肢がここまで過酷とは、さすが神ゲー。

 あの、『ニーパー※注1』のタイトルを引き継ぐだけのことはある……」


 ◇


 ――5時間ほど議論をしたのち……


結局、どちらかを選びきれず、このゲームはお蔵入りとなりました



 ◇



 まさか――



こんな老いぼれた2人が、あのような事件に巻き込まれてしまうとは……



苦労なんぞ、したくはなかったのですがねぇ……






※注1……『ニートに転生した異世界勇者はパーティが組めない!』の事です

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