第27話 1人





まゆと暮らし始めてからあっという間に月日は流れ、気づいたらまゆと暮らし始めてから1週間が経過した。この1週間は本当に幸せで、いつも隣にまゆがいてくれた。


「まゆ、気をつけてね」

「うん。すぐ帰ってくるからいい子で待っててね」


そう言ってまゆは玄関で両手を広げている。抱きしめて。という合図だ。僕がぎゅっとまゆを抱きしめるとまゆも僕を抱きしめてくれる。


「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」


僕に見送られてまゆはアパートから出て行く。今日、まゆは4月からの職場に訪問する予定があり僕は1人でアパートでお留守番だ。


きっと、あと1週間くらいしたらこうやってまゆを見送ることが当たり前になるんだろうな。まゆを見送って少ししたら僕もアパートを出て職場に向かう。きっと、そうなるはずだ。ずっと、まゆと一緒にいたい。でも、ずっとは一緒にいられない。まゆと一緒にいるために2人で一緒にいるために、2人で頑張ろう。そう2人で決めた。


とはいえまゆがいないと寂しい。いつもなら1人でスマホゲームしている時でもまゆは僕の隣に座っているか僕に膝枕をさせてお昼寝したりしている。1人になることが久しぶりな感じがしてすごく寂しい。スマホゲームをしながらいつものように、いつもまゆの頭がある場所に自然と手を伸ばしていたが、そこにまゆの姿はない。


「…………せっかくだし」


いつもまゆにはめちゃくちゃお世話をしてもらっている。料理に部屋の掃除などの家事は全部まゆがやってくれていて、僕はまゆが食器を片付ける手伝いやゴミ捨て、お風呂掃除くらいしかしてない。洗濯は各自でやるはずだったが気づいたらまゆが僕の分もやってくれていたし……


まゆには感謝してもしきれない。だから、まゆが頑張っている時くらい帰ってきてから楽をさせてあげたい。


とりあえずは部屋の掃除をした。いつもまゆがやってるみたいに掃除機をかけてから机や棚を布巾で拭く。洗濯はまゆが出かける前に終わらせてくれていたので、後で干してある洗濯物を回収して畳むくらいはしよう。


そして冷蔵庫の中身を確認していくつか食材を取り出す。まゆみたいに上手くはできないが、まゆのために精一杯頑張ってみよう。と思い台所に向かう。


そして数時間後………


「ただいまぁ…りゅうちゃん、疲れた〜」

「おかえり。お疲れ様」


まゆが帰ってきたので僕はまゆを出迎える。まゆは疲れたぁ。と言って僕に抱きついてくる。かわいい。


「ねぇ。りゅうちゃん、なんか変な匂いするのは気のせい?」

「ご、ごめんなさい」


まゆのために頑張る。そう思った結果が………






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