メニュー決め

 ──そういえばチョコケーキだけがメインじゃなかった。


 自称・カクヨムユーザー屈指の甘党であるうすだが目にしたのは、ぼっちというものが一切存在しないフレンドリーさに特化した空間だった。イメージ通りの賑やかで華のある前評判通りの評価なのは間違いないが、1人スイパラがいかに初来店者お断りなのを痛感する。

 とりあえず店員の指示通り、一旦うすだは入口付近に戻って詳細を決める。これから大量にチョコケーキを味わうつもりなのに、先にという不味いものを先に味わったかのような気分だ。


「そういえばまともに食べられるものないじゃん」


 今回はあくまでも原神コラボとして予約来店したため、コラボメニューを必ず1品注文する必要がある。チョコケーキばかり先行したためか、すっかり忘れがちだがあまりに重要なことだ。

 改めて説明するとうすだは今回コラボメニューのご注文以外にも、別途バイキングのご注文80分コース(大人1490円税込)が必要となる。どれを頼んでも合計2000円以上はするので、うすだとしては非常に高額な食費代だ。ま、スイパラに行くこと自体が思いきった挑戦なためまあ奮発しても構わないか。


「とりあえずこれにするか」


 改めてうすだは斉藤壮馬演じる重雲ちょううんのオリジナル料理である山辛やまさちの冷やし麺を選ぶが、選んだ理由は初めて食べるものでもただ単にだからである。甘いもの専門と思われがちなスイパラだが、コラボメニューでは辛いものもしっかりと存在することを実感した。

 しかし、冷やし麺だけでも相当カロリーがかかるのではないかと疑問に感じたが、ルールである以上に山幸の冷やし麺は必ず完食することを心に刻んだ。ちなみに、うすだは好き嫌いの激しいもので有名なきゅうりやネギはそこまで嫌いでない。


「コラボドリンクはいいかな……ドリンクバー込みでもあるしね」


 ドリンクメニューに関しても視野にいれたが、今回は頼まずにフードメニューだけ注文することにした。たしかにうすだは胡桃が大好きだが、胡桃のコースター目的のためだけで彼女のコラボメニューの血梅香ちばいこうのしずくは断念せざるを得なかった。

 理由は2つ存在する。1つはうすだは生涯のなかで梅ドリンクを飲んだことがなかったこと、もう1つはドリンクバーもあるし別に無理して注文するものなのかと疑問に感じたからだ。こう考えたら胡桃ファン失格と思われても不思議ではないですが。


「で、また地獄に戻るのか」


 メニューを決めたのはいいが、こんなのはまだまだ始まりにしかすぎない。うすだはまた場違い地獄に入らなければならない、しかも約80分間もだ──

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