50点目 「まだあります! 店員の暗黒面」 【10/31(月)】

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 あれだけ大口を叩いておきながら、今日はもう月末の十月三十日。

 またこうして大慌てで原稿を書いている次第ですが、恐らく今日中に上げるのは厳しいと踏んでいますから、このお話を皆様がご覧になっている頃、世間は今頃ハロウィン真っ盛り、といったところなんでしょうか。

 月末の三十一日は、週明けの月曜日。お仕事をなさっている皆様、ホントお疲れ様です…。

 コンビニでは特にイベントはないものの、ハロウィンに因んだスイーツなんかが売り場に並んでいます。年の瀬の足音が聞こえてきそなこの時期、コンビニでの目下の重大事はやはりクリスマスとおせち。またこの時期がやってきたかぁ、としみじみ思う次第です。

 さて、今日は記念すべき五十点目のお話。

 失踪しかけながらも、何とかここまでくることができました。

 せっかくの記念すべき回ですから…、と言いたいところですが、そこはひねくれもののタカハシ。今回は五十点目を記念しまして、バッチリコンビニ店員の暗黒面を暴きに参りたいと思います。

 そろそろ出さないとフルボッコにされそうなんで、今回の話にはサキちゃんにもご登場いただくことにしましょう。

 長い前置きは邪魔なだけでしょうから、そろそろ本編にまいりましょうか。

 それでは、本日も最後までお楽しみいただければ幸いです。


 これもまた、ある日のお話。

 タカハシが束の間の休日を満喫していた日のこと。

 平穏な休日の時間を壊すそれは、何の前触れもなくやってきました。

 不意にスマホの通知音がして画面を見ると、一本のメッセージがきたところでした。

 〈お疲れ様です。今日の夜入れますか?〉

 メッセージの主は、一緒に働いている同期。

 同期とは言っても、サキちゃんやタカハシよりも入ってきたのはずっと後の子です。

 あ、もしかしたら言ってなかったかもしれませんが、タカハシとサキちゃんは同期です。他にも同期は何人かいるんですが、我々二人だけがその中で圧倒的に歴が長いです(笑)

 さて、お話を休日のタカハシに戻しまして、通知でそのメッセージを見たタカハシは、既読はつけずにとりあえず別の人間にメッセージを飛ばします。相手はもちろん、サキちゃんです。この日は我々二人とも休みの日でした。

 〈今連絡できる? 今日の夜欠員出た〉

 メッセージを送ったら、すぐに電話がかかってきました。

 「もしもし、サキちゃん?」

 「はいよ」

 「忙しいとこゴメンね」

 「今日の欠員って八時からのシフトでしょ?」

 「ということは田口か」

 さすがのサキちゃん、言わずとも誰のことかは分かっているようです。

 「ま、その通りです」

 「アイツこれで今月何回目よ?」

 「まぁ、通知鳴った瞬間俺も嫌な予感したけどね」

 「まぁ私も、今日アイツがシフト入ってたの知ってたから、もしや…とは思ってたけど」

 「やっぱり?」

 「そりゃそーなるでしょ?」

 「まぁそれ俺も同じかもな」

 こういうことがままあるので、私もサキちゃんもいつの間にか全員のシフトを記憶するようになっていました。

 「で、何て返した?」

 「まだ何も返してない」

 「他の人とかには?」

 「多分田口さんの性格からして、連絡してないと思うよ。そもそも他の店員の連絡先知らないと思う」

 「タカハシ君、直近のシフト明日の夜だよね」

 「サキちゃんは今回珍しく連休か」

 「そう。だから次は明後日の夜勤よ」

 「とりあえず、手分けして他の人当たってみようか」

 「市兄さんと笠姐さんは?」

 「笠姐さんは今日日勤。市兄さんは…、多分急だから入ってくれないだろうな」

 「まぁそうだろうね」

 既に時刻は夕方の四時。何でこんなギリギリに…、と我々二人はそこにもイライラしておりました。

 「んで、最悪の場合は…」

 「タカハシ君は厳しいよね? 明日は授業お昼からだっけ?」

 「いやーでも、明日サキちゃん一限から授業でしょ? 俺がなんとか入るよ」

 もう長いつき合い過ぎて、シフト以外の予定もお互いある程度把握しているのです。

 「ゴメンよー」

 「まぁでも、八時からいくの厳しいから、前のシフトの人に伸びてもらうしかないな」

 「あくまでも、『最悪のケース』の場合だけどね」

 「そう思っといて損はないでしょ。どーせ最後には俺に回ってくるって」

 「実際引き受けるのはウチらだけなんだよね」

 「受けたくないけど、受けなかったら大変なことになるしね」

 「ウチら、いつも暇人みたいに思われてそうじゃない? あとさ、頼んでくるメンツがほぼ毎回一緒ってのが腹立つよね」

 「確かに。こっちは予定をやりくりして入ってるってのにね」

 「ホントそれな」

 この後電話を切り、二人で手分けして他の人間にあたり、その日はどうにかタカハシが出勤せずに済んだのでした。

 ここまで酷いのは稀ですが、シフトの交代申請自体は結構回ってきます。

 まぁ、私やサキちゃんの方から頼むことはそうそうないので、基本引き受ける一方です。で、急な欠員とかは好き好んで受ける人間もいないので、たらい回しにされて我々二人に回ってくることなんてことも。

 そもそも我が店舗でのシフト交代の際のルールは、交代をしたい場合は交代相手を自分で見つけて申告するというもの。

 その状態で事前に店長に申告し、承認をもらって交代完了という感じです。

 というのが建前なんですが、実際は相方が決まらず直前までドタバタする…、なんてこともしばしば。

 それで毎度のように直前にシフト交代の連絡がくることに痺れを切らした我々は、いつしか自主的にシフト交代を見つける際の仲介をするようになったのです。

 自分のところにシフト交代の連絡が来るなどして、欠員が出ることが分かった段階でその日入れる人を探し、見つからなければ自分たちが入るというもの。

 それがいつしか慣例になり、何かあれば我々のどちらかに連絡がくるようになっています。

 そんなことせず、素直に断ればいいって?

 私達も昔はそうしてたんです。

 ですが、シフト探してる相手に断ったはずなのに、もう一回店長から電話がかかってきて…、なんてことが何回かありまして。結局できる限りは自分たちで解決するようになっていったのです。

 店長は代わりに入ってくれないのかって?

 まぁ、そういうこともあるんですが、店長は店長で基本毎日早朝に仕事をしてるので、深夜に入るというのはあくまでも緊急手段。

 それをよく分ってる手前、できる限りは深夜に入れるバイトで何とかしようとしてるのです。

 店長も我々がそういう風にシフトを探している人間に手を貸してることを知ってると思いますが、特に何か言われたことないですね。

 一応、急な欠員によくヘルプで入ってるので、その度に感謝の言葉はもらいますが……。

 果たしてそれは、本当の心からの感謝なのか、使い勝手のいいという意味なのか……。

 そもそも、絶対的な店員の数が少ないんですよね。

 正直、ウチもまぁまぁ酷いのでしょうが、もっと酷い店舗の話なんかもよく聞きます。

 これは、コンビニという職種自体の宿命なのかなぁ、って思ったりもしています。


 暗黒面どころか胸くそ悪い話を書いてしまい失礼しました。

 ここまでおつき合い頂いた方、本当にありがとうございました。

 今回は敢えて、いつもは書かない裏側の部分を忌憚なく書かせていただきました。

 これはあくまで、コンビニの悪い部分の一面に過ぎないこと、ご理解頂ければ幸いです。(ホントに悪いことばかりなら、こんなに続けてませんしね)

 まぁ、でも、待遇はよくない方なんでしょうね。

 後味の悪い終わり方になってしまいましたが、今日はここまでといたしましょう。

 またのご来店、心よりお待ちしております。

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