48点目 「支払いができない!」       【8/26(金)】

 盛夏の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 相変わらず暑い日が続いていますが、朝晩は少し過ごしやすい日も増えてきたような気がいたします。

 はい、あれだけ言っておきながら前回の更新から一ヶ月が経ってしまいました。

 無精なタカハシをどうかお赦し下さい……。

 もういっそのこと開き直って、正式に月一投稿へ移行しようかとも考え中です。

 さて、八月ももう終盤。

 学生の皆様、夏休みの宿題はお済みでしょうか? まぁ、計画性のないタカハシが言えたことではないんですけどね(笑)

 今日のお話は、通信障害について。

 少し前に、携帯会社で大きな問題になりましたよね。

 あれを見て思い出したのですが、コンビニにも似たような通信障害が起こることがあるのです。

 もっとも、あの時のものとは比べ物ならない小規模なものですけどね。それでも現場に立つ我々コンビニ店員には冷や汗ものです。

 今日のお話の肝になるのが、「バーコード決済」。

 その手軽から、これをご覧の皆様も中にも使っていらっしゃる方が多いのではないかと思います。今日のお話は、それが突然使えなくなって…、といった感じのものです。

 そんな時、コンビニ店員は咄嗟にどう対処しているのか。

 また今日も最後までおつき合い頂ければ幸いです。


 さて、これもまたある日の深夜のこと。

 いつもと変わらず、サキちゃんと私はお仕事をしておりました。

 これまたいつもと変わらず、私は丁度お客様のレジを担当しておりました。全ての商品のバーコードを打ち終わり、最後にお会計を頂く場面に。

 お客様はバーコード決済でのお支払いをご希望され、私は普段通りご提示頂いたバーコード画面をスキャンしたのですが……。

 いつもなら数秒で鳴るはずの決済完了を知らせる音が、一向に鳴る気配がないのです!

 店員側のレジの画面にも、グルグルとロード画面のような表示が出ているばかり……。

 通常であれば、仮に決済が上手く行かなかった場合でも、数秒待てばエラー表示が出る仕様になっているのです。

 ですがこの時は、明らかに様子が違いました。

 焦る中でまず咄嗟に思い浮かんだのが、「お客様の端末由来の問題」。

 アプリ内の残金が不足していたり、端末がWi-Fiなどに上手く接続できておらずに決済ができない……、というのは実は結構あるあるのトラブルなんです。

 相変わらず画面はロード状態なので、まずは一度その点をお客様に確認してみようと私は思い立ちました。

 「申し訳ございませんが、今レジでバーコードの決済が上手く読みこめない状態でして……。大変恐縮なのですが、アプリの残高やネットの接続環境などを今一度ご確認頂けますでしょうか?」

 この時対応させて頂いていたのは、物腰の柔らかそうな女性のお客様。まさに不幸中の幸いとはこのことです。

 お客様にご協力頂いて端末を確認して頂いたのですが、どうやらお客様由来の問題ではなさそうでした。

 そうこうしていると、ようやくレジの画面が元通りに。画面に表示されたのは、見覚えのある決済の失敗を知らせる表示。

 あれ、おかしいな?、と思いつつも、私はもう一回バーコードをスキャンして決済の処理を通してみることにしました。

 が、またもや同じようにロード状態に。

 今まで見たことも聞いたこともない状況に内心かなり焦っていましたが、恐らくレジの機械そのものが何か問題を起しているのだろうと察しはつきました。原因は見当がつきませんでしたが、こうなればバーコード決済は使うことができないのは明白です。

 「レジの機械の不調で、現在バーコード決済が使えない状態のようでして……。申し訳ございませんが、現金でお会計頂戴してもよろしいでしょうか?」

 先ほどのお客様に平謝りをし、レジが使える状態までお待ち頂き、何とかお会計を終えることができたのでした。

 私はただ事ではないと思い、すぐにバックヤードにいたサキちゃんを呼び戻しました。

 「タカハシ君、どしたの?」

 「〇ay〇ayが使えない」

 「え?」

 「多分レジの機械の通信不良だと思う…」

 「そんなことあるんだ」

 「俺も初めてみた」

 「どうする?」

 「とりあえずバーコード決済のお支払いは全てお断りして。正直、現状どこまでレジが使えるか分からないから、裏の作業止めて、念のためしばらくレジ中で待機してて」

 「わかった」

 「あと、品物のスキャンはできるっぽいけど、支払いになってレジがフリーズする可能性も考えた方がいいかもしれない」

 「え? そうなったらどーする?」

 「とりあえず、様子を見よう……。よっぽどだったら、上に連絡する。念のため、裏の金庫から釣り銭用にいくらか現金出してきてくれる?」

 「わ、わかった」

 この時既に、店のレジは全てお客様にお金を入れて頂く形の自動レジに変わっていたのです。

 このレジ、中々便利な代物ではあるのですが、何かトラブルが起きた時に、アナログのレジみたく柔軟に対処できないという欠点があるのです。もし万が一ロード画面のまま長時間固まってしまうことになれば、レジの中からお金を取り出すことすらできなくなるのです。

 問題が起きたのが、深夜のお客様の少ない時間でなかったらどうなっていたことか……。考えただけでもゾッとします(笑)

 幸いなことに、その後しばらくレジを使っていく内に、バーコード決済以外の支払いは問題なく使えそうなことがわかってきました。そうと分かれば、こちらのものです。私とサキちゃんはホッと胸をなでおろしました。

 それから更に十五分ほど経った後───。

 事務所のパソコンに、本部からの緊急メールが届きました。

 文面は、「通信不良のため、バーコード決済は当分の間使用停止」というもの。

 どうやら私の咄嗟の判断は正しかったようでした。

 そのメールを見ながら、「いや、今頃言われても遅いよ!」と、思わず二人してツッコんでしまったのは、言うまでもありません(笑)

 

 コンビニ店員をしていると、今回の様に咄嗟の判断を求められる時という場面にもしばしば遭遇します。新人時代は先輩に助けを求めればよかったものも、段々と年数を重ねるごとに、自分で判断することを迫られることも増えてきます。

 もちろんそのような時のためにマニュアルや規則が存在するのでしょうが、コンビニの業務がここまで多様化している現状では、もはや全てを網羅できる状態ではないのではないかとも思っています。

 深夜帯にタカハシより上の立場の人間はいませんから、自分の裁量で何かを決めてその場は対処する、なんてこともよくある話なのです。

 こんな風に書くと、さすがに大げさ過ぎますかね(笑)

 まぁ、でも、この一件は私のコンビニ店員人生の中でも、一二を争うハプニングでしょうね。

 以来何が起きても、あまり動揺しなくなった気もします……。

 

 さて、いつの間にか三千文字が迫ってまいりました。

 今回もこの辺にさせて頂きましょう。

 次の投稿は……、あまり軽率なことは申し上げないでおきましょう(汗)

 本日はお立ち寄り頂き、誠にありがとうございました。

 またのご利用、心よりお待ちしております。

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