第29話

「いきなり何するんですか」

モーブの言葉が柔らかくなった気がする。

いや、正確には砕けたのか?

試しにモーブを挑発してみる。

「勝手に転んだだけじゃない」

「とにかく、朝ですよ」

「はいはい」

嬉しくなって笑いそうになった。

モーブに少しだけ感情が戻ったのだ。

「玲さんがお怒りですものね」

「そうですよ」

ただ、少しイラつかせてしまったみたいだ。

まあ、私がこの立場だったらもっと怒っていたと思うが。

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