第27話

「これが、サクラ実?かな」

丸っこい苺のような見た目で、図鑑に書かれていた通り

確かにいい匂いを放っていた。

フルーティーなフレーバーティーのような匂いだ。

この匂いが嫌いな人に私はあまり会ったことがない、

万人受けの香り。

「って、もう夜が明けちゃう」

まだあまり太陽は上っていないが、

余裕を持った方がいいだろう。

「スズ草は、、」

庭を見渡したが、スズ草らしきものは見当たらない。

「とにかく、早くいかないと」

サクラ実だけで効果があるか分からないが、やってみる

しかない。

私はこの時初めて盗みを犯した。

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