第26話

「るみか様、少し上の空のようですが、お疲れですか?」

「ううん、大丈夫」

「そうですか、しかし、今夜は早くお休みになられたほうが

よろしいかと」

「そうね、早めにねるわ」

モーブには少し罪悪感を覚えた。

でも、このくらいの罪悪感ぐらい乗り越えなくてはいけない、

玲の庭からサクラ実とスズ草を取る。

これは立派な盗みだ。

「モーブはもう寝た、よね」

眠る振りをして部屋を飛び出した。

昼間もそうだったが、夜の屋敷は静寂に包まれ、

廃墟同然だ。

「サクラ実とスズ草を取ってこないと」

駆け足で廊下を渡りながら頭にサクラ実とスズ草を強くイメージする。

「中庭から見よう」

中庭は、世界が変わったかのように華聯だ。

ほのかに花々の匂いがする。

「見たことない植物ばっかりだな」

生える植物はうちの近所とまるっきり違うみたいだ。

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