第2章 12

 翌日は、陽介と譲治と章星の三人は、被疑者を自宅から会社まで尾行し、その足で警視庁の対策本部に向かった。対策本部では被疑者が退社する時間まで会議を持つことになった。

「彼は検索サイトの地図で、ある場所を頻繁に調べています。それは水源島公園です。この公園は河川が通っているくらい広い公園なのですが、人が訪れる場所が確かにあるのですが、反対にめったに人が訪れないというよりもまず人が訪れることのない場所があります。その場所はほとんど管理が入っていません。ですから、管理人や業者が入ることはまずないと言っていい場所です。その場所を彼は驚く程頻繁に調べていることが履歴から伺えるのです。そしてそれは最近になってからなのです。それも彼が銃を入手したと思われる日からきっかりと始まっているのです。私たちは最初彼が銃を入手したのは、高額で横流しをするという単なるお金が目的の犯行ではないかと思っていました。しかし、彼が銃を入手してから、彼を監視尾行してきましたが、誰かに横流しをしようとする様子が一向に見られませんでした。ですから彼が銃を入手したのは横流しが目的ではなくて、実際に自分で使うのが目的ではないのかという可能性が否定できません。彼が頻繁に調べている場所は沼地があるところです。その沼地は底なし沼といわれているところらしいです。沼の周辺には身を潜めるのに都合のよさそうな灌木がたくさんあります。彼が出社しない日にその場所に潜伏したらいいのではないかと思っています」

「岩城と糸井と戸川は彼をずっと監視尾行しているので、遠くからでも識別できると思うんだが、君たち3人に潜伏の方をお願いしてもいいですか」

「私たちはそのつもりでいます」

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