第6話  従姉は見える人 ~ホラーな話し②~

 以前に~ホラーな話し~で紹介した叔父さんのその後について、少しお話ししようと思います。


 叔父さん(小烏の実母の姉の夫)のところには二人の従姉弟がいました。

長女の諒子りょうこさんは小烏より六歳年上。

地元で勤め、地元の人と結婚して今も地元で生活しています。

親戚の中で飛びぬけて美人で面倒見が良く、小烏姉妹は「諒子姉ちゃん」と呼んでとても懐いていました。


 長男は政洋まさひろ

こちらも今で言うイケメンで、従姉妹ながら自慢の「お兄ちゃん」でした。

京都の大学から大手の石油関連会社の秘書室に長く勤め、鹿児島に転勤になった先で取引先の社長に見込まれヘッドハンティング。

今は鹿児島で生活しています。

長く会っていないので最近の顔がわかりません。


 さて、叔父さんが不慮の事故で亡くなって七回忌が終わった頃のことだったと思います。


 母と叔母は仲が良く、お彼岸とかお盆には二人で一緒に自分たちのじっかとそれぞれの婚家の墓参りをしていました。

その日、小烏姉妹は母に連れられて叔母の家の墓参りに行った帰りでした。

叔母の家にはすでにお嫁に行っていた諒子姉ちゃんも来ていて、久しぶりにたくさんおしゃべりをしました。


 その年は梅雨が長くて雨ばかり。

叔母の家も小烏姉妹の実家も町中まちなかでしたが用水路が近く、このまま水が増えたら心配だという話題になった時の事です。

思い出したように諒子姉ちゃんが言いました。


 「そういえば、この前お父さんが夢に出てきたわ。」


 それを聞いて叔母がとても悔しがりました。


「なんで、諒子のところばっかり。

お化けでもいいからうちに帰って来てって毎日仏壇で言ってるのに。

それで、お父さん、なんて?」


「えーと、びしょ濡れで。

冷たくて仕方ないから何とかしてくれって。」


みんなは「雨だからなぁ。」と窓の外を眺めました。

そのあとその話しは流されてしまいましたが、諒子姉ちゃんはそのあとも同じ夢を何度か見たのです。


 さすがに気になった諒子姉ちゃんは弟の政洋兄ちゃんに相談し、叔母とお墓に行ってみたそうです。

すると骨壺を納めてある空間に雨水が染み込んで、骨壺が半分水に浸かっていたそうです。


「お父さん、このことを言ってたんだわ!」


 叔母と従姉は急いで管理会社に連絡して、水を抜いてもらったと聞きました。

その後「ずぶぬれのお父さん」の夢はぴたりと見なくなったと言います。


 諒子姉ちゃんは今でも時々「お父さん」そっくりの人に人混みで会うそうです。


「時折お父さんそっくりの人が、こちらを見て微笑んでるんよ。

あっと思って、近づこうとすると人混みに紛れて消えてしまうんだけど。」


 それを聞いて


「なんで諒子のところばっかり!」


と悔しがる叔母なのでした。

叔父のことなので、叔母のところにもたびたび行っているのではないかと思います。

ただ、叔母が気づかないだけで。



*************************


★こちらもホラーなお話しです。

じわりじわりと怖い夢のお話し。

夢から解放されるためは「捨て」なければなりません。

さて、なにを捨てるのでしょうか?

オススメします!

緋雪様作

『囚われる』

https://kakuyomu.jp/works/16817139555339402663



★叔父さんの話はこちらです

「叔父さんのご挨拶 ~ホラーな話し①~」

https://kakuyomu.jp/works/16816927861004084671/episodes/16817330650963114747


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