第45話 火野 京子の年下の王子様

火野 京子は生まれた頃に親からすぐに引き離され、物心つく前にとある施設に隔離された部屋に収監されていた。


火野 京子にはある特殊能力があった、った物、れた物を瞬時に折ってしまう能力"接触骨折ディストラクションハンド


当然この能力は京子がこの世にせいを授かった時に発動しており、京子は母のお腹の中で、母の体の内部から骨を折り、母を重体にまで追い込んでしまった。


すぐに未熟児の状態で京子は取り出され、その時に京子の手に触れてしまった産婦人科や家族の骨は折れ、本来なら赤ちゃんの産声が響き渡る産婦人科は、大人の悲痛の叫び声と悲鳴が響き渡っていた。


この事はちょっとした事件にもなり、すぐさま極秘に国が動き、京子は生まれながらにして特別施設へと搬送されたのだ。


その時の事は何故かまだ物心も付いていない幼い京子の記憶に鮮明に記憶の中に植え付けられ、読み書きも出来ないはずの赤ちゃんの耳に母の悲痛な叫びと、哀しみの声が響き渡っていた。


『いや〜……その子を連れて行かないで……』

それはとても悲しく、辛い叫び声だった。


京子はその施設で幼少期を過ごし、小学生に上がる頃に、施設からこの能力を抑える道具、『能力封じの包帯』を渡される事で一般の人と一緒に生活して良い許可をもらえた。


当然包帯なんか巻いて投稿するものだから、学校ではからかわれ。


「おい京子、なんだよその気持ち悪い包帯は、なんか病気

が移るんじゃね、汚ね〜」と男子に虐められ、女子からも「汚い手で触らないで」と避けられ。


それでも京子は一人でも頑張って生き、この手が役に立つ事を探してコツコツと周りに流されないよう生活をしていた。


だが中学生に上がると小学生とは違い虐めもエスカレートし、酷い事も言われる。


一番ショックだったのは、京子にも好きな人が出来、告白してくれた人がいた、その人は京子も好きだった人で、当然告白を喜びその日に返事を返し、その彼と交際する事になった。


でも彼は一度も京子の手を握ろうともしないし、学校でもあまり話しかける事もなく、一緒に帰ろうともしなかった。


それでも京子はこんな自分を好きだと言ってくれた彼の事が好きだったので今の状態を受け入れていた。


そんな状態の交際からある日、京子は彼に呼び出され彼のマンションに行った、彼のご両親はお金持ちで彼は中学生で親からマンションを渡されて一人暮らしをしていたのだ。


初めて彼の家に呼ばれた京子は嬉しく、行く前に駅前のケーキ屋さんでショートケーキをお土産に、自分なりにオシャレな服装で緊張しながら彼の家に向かった。


ピンポーン


オートロック式のエントランス、彼の部屋番号を入力して呼び出しボタンを押す。


『はい?』


「あっ! 京子です」


『おぉ、今開けるよ』

彼はエントランスの自動ドアを開け、京子はエレベーターに乗り、彼の住む最上階のボタンを押して向かった。


最上階は彼一人が住むフロアーで、京子は「凄いな〜と」驚きながら玄関に向かい、またインターフォンを押した。


すると彼はすぐに出て来て。


「おう! 入れよ」

彼は素敵な笑顔で私を受け入れ。


「お邪魔しま〜す」

私は玄関で靴を揃えて脱ぎ、玄関をに上がると彼がリビングまで案内してくれた。


「今日ね駅前のケーキ屋さんに寄ってショートケーキ買ってきたから、後で一緒に食べよ……!?」

京子は嬉しそうに話しながらリビングに入るとそこには数十人の男性がタバコを吸ったり、ビールを飲んで集まっていた。


「えっ!? だ、誰……? ねぇくそやま君? この人達は……これどういう事?」

京子は何がなんだか分からず、糞ノ山に尋ねた。


「あん! 見りゃ分かるだろ、遊ぶんだろ?」

糞ノ山は京子を睨みつけ、いやらしい笑い方で答える。


「ご、ごめんなさい、私帰る!」

京子は怖くなり玄関に向き直り帰ろうとするが、玄関からも数人の男性が入ってきて。


「おい、コラァ! 帰るってなんだ、みんな待ちくたびれたんだよ、空気を読めや」

糞ノ山は私の腕を掴むと、京子の服を破り、壁に押し付けた。


「いや! 離してよ、やめて!!」

京子は下着姿にされ抵抗したが、男性数人に抑えられ身動きが取れない。


「骨川ちゃん、早くやろうぜクックック」

顎まである茶髪を真ん中で分け、常に眉間にシワを寄せて目つきが鋭く、体格はヒョロッとした、ダボダボの白いTシャツにダボダボのグレーのスウェットを履いた男がニヤケながら糞ノ山に話しかける。


「分かってるよ竜也、焦んじゃねーよ」

糞ノ山は私のブラジャーに手をかけ剥ぎ取る。


「いやーー!!」

京子は泣き叫び目の前の骨川ほねかわ くそやまを睨みつけ。


「なんだその目は……ブスの癖にムカつくな」

糞ノ山は京子の頬を引っ叩く。


「この包帯邪魔だな、生の手でやってもらわねーと気持ちよくなんねーよ」

男達の一人が言うと、その男は京子の腕に巻かれていた包帯をほどく。


その瞬間、ほどいていた男は突然大声を上げる。


「ぎゃあああぁぁぁ!!」

男は指を抑えて床に悶絶する。


「テ、テメー! な、何しやがった!?」

数人の男が京子を抑えようと飛びかかってきた。


「うぁぁぁぁ!」

男達は次々と手を抑え悶絶する。


「き、京子お前何しやがった!」

糞ノ山は怯え京子から距離を置く。


「好き……好きだったのに……」

京子は泣きなごら糞ノ山に近づくとギュッと彼に抱きついた。


「うぎゃあああ!!」

糞ノ山の背骨からバキバキ折れる骨の音が響き渡る。


その光景を見ていた男連中は恐怖に怯え、急いでその場から逃げ。


(私は男性を好きになってはダメなのかも……)


(私の目の前は真っ暗闇だ……)


(私は……)


ーー

ーー


「もしもし……」

真っ暗闇の中、京子の中に優しい声が聞こえる。


「大丈夫ですか?」

真っ暗闇の世界、絶望してる京子の心を微かに光を照らす優しい声。


京子の悲しい心に優しく染み渡る声……


ーー

ーー

ーー?


ーー!?


『もしもし、大丈夫ですか?』

誰か男性が京子を呼ぶ。


京子はなんか昔の夢を見ていたみたいだ、嫌な思い出……悪夢を……声のする男性は京子をゆすり声をかけ続けいる。


「ん? ここは病室……そうか黒戸君の意識が回復の待っていたらつい寝てしまって……」

京子は搬送して、黒戸くろと しろの寝てるベッド横にパイプイスに座り待機してたら寝てしまっていた。


「あっ、目が覚めましたか? なんかうなされていたし、涙を流していたので心配になりました」

黒戸は京子が目を覚ましたのを見ると安心した表情で、とても優しい笑顔で迎えてくれた。


「あっ!? ご、ごめんなさい、疲れてるのかな……えっ!?」

京子は白の手を握り寝ていたらしいのだが、包帯の結び目が解けた素手のまま京子は白の手を握ってしまっていた。


「あの……なんか包帯解けているみたいですけど、怪我とか大丈夫ですか?」

白は京子に手を握られたまま普通に話掛け、京子は直ぐに握った手を離す。


「えっ!? あっ! だ、大丈夫? 折れてない? 私に触れているって……その手の骨が粉々に折れてない……?」

京子は心配そうに白を見つめる。


「えっ? 何故ですか、僕は大丈夫ですが……お姉さんの方が包帯取れて大丈夫なんですか? 嫌じゃなければ僕が巻き直しますが……」

そう言うと白は京子の腕を持ち、包帯を巻き直し始める。


京子はこの何気ない行為がとても嬉しく、初めて男性に普通に触られた事に顔を赤くし、不器用ながら一生懸命包帯を巻いてくれる白の姿がとても愛おしいく、胸をドキドキさせていた。


(もしかしてこれって運命……私の白馬に乗った王子様が現れたの……)

京子は白に腕の包帯を巻かれながら、恋する乙女の表情で白を見つめた。

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